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[画像: 「雪の中で」 秋田・湯沢 1974年 写真:北井一夫 ©Kazuo Kitai]

北井一夫 「村へ、そして村へ」

FUJIFILM SQUARE
終了しました

アーティスト

北井一夫
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため、フジフイルム スクエアは臨時休館しておりましたが、6月1日(火)より再開いたします。

北井一夫(1944—)は戦後日本を代表する写真家です。人の生活にテーマを置き、時代を的確にとらえた作品は国内外で高く評価され、現在も国際的に注目を集めています。

写真家・北井一夫の〈村へ〉は『アサヒカメラ』1974年1月号から1975年12月号まで、全24回にわたって連載された作品です。1970年代、日本の意識が急速に都市へと集中していった時代、それと逆行するように「村」という対象を選び、「稲刈りのあと」「湯治場」「雪の中で」「田舎道」「お盆」など、何でもない日常を写した新しい視点は大きな話題を呼びました。この連載が評価され、北井は第1回木村伊兵衛写真賞を受賞。その続編となる〈そして村へ〉は、同誌1976年1月号から1977年6月号まで連載されました。1976年には同誌10月増刊として写真集『村へ』が、また1980年には一連のシリーズを再編集した写真集『村へ』(淡交社)が発表されました。同作は、その後も編集を変えながら写真集や写真展で繰り返し発表され、現在まで途切れることなく注目されてきた稀有な作品です。

北井は1964年、横須賀基地の原子力潜水艦寄港阻止のデモを撮影した写真集『抵抗』(未來社、1965年)を自費出版し、これを写真家の出発点として活動を始めました。その後も過激派の学生運動の渦中で写真を撮り『アサヒグラフ』などで活躍。しかし北井の興味は、やがて闘争そのものから、活動する人々の日常へと移行していきます。1969年、成田空港建設に反対する三里塚の農民を取材した写真集『三里塚』(のら社、1971年)では、農民と同じ立場に立ち、日常をとらえた視点と表現が評価され、日本写真協会新人賞を受賞。北井はこの時の取材で、被写体となる人々に寄り添い、その生活を撮るという独自の撮影姿勢とテーマを見出しました。写真家の温かい眼差しはその後の作品にも一貫し、〈村へ〉でも崩壊直前の農村のありふれた光景が静かに、丹念にとらえられています。

本展は、第1回木村伊兵衛写真賞受賞作である写真家・北井一夫の時代を超えた名作〈村へ〉と、その続編〈そして村へ〉の一連の作品群から、約30点を精選し、貴重なヴィンテージプリント※で展示いたします。撮影当時、時代の意識と真逆にあった「村」という対象は、時を経て、その時代を象徴するものとなり、何気ない日常の光景は、より一層、記録ということの重みを感じさせるものとなりました。デジタル写真やSNSが社会に浸透し、写真の撮り方や見方、表現の仕方が大きく変わった現在、約半世紀の時を経たヴィンテージプリントは、記録するという写真の原点、写真家の視点を表現するという写真の本質を、さらに強く訴えかけてくることでしょう。

人と出会い、時代を記録してきた写真家・北井一夫の名作をどうぞご堪能ください。

会場: 写真歴史博物館

スケジュール

2021年4月1日(木)〜2021年7月19日(月)

開館情報

時間
10:0019:00
休館日
年末年始休館
備考
最終日は16:00まで
入場料無料
展覧会URLhttps://fujifilmsquare.jp/detail/21040104.html
会場FUJIFILM SQUARE
http://fujifilmsquare.jp/
住所〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン WEST 1F
アクセス都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅8番出口より直結, 東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口より徒歩5分
電話番号03-6271-3350
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