終了した展覧会・イベントです
[画像: Marius Bercea, The far sound of cities, 2020, oil on canvas, 298.0 x 400.0cm]

マリウス・ブルチーア 「The Far Sound of Cities」

MAKI(天王洲)
終了しました

アーティスト

マリウス・ブルチーア
※政府による緊急事態宣言発令に伴いまして、4/25 (日) 〜 5/11 (火) の間、表参道および天王洲 I・IIのすべてのギャラリースペースを臨時休廊とさせていただきます。

このたび、ルーマニア出身のアーティスト、マリウス・ブルチーアの日本初個展「The Far Sound of Cities」をMAKI Gallery / 天王洲II, 東京にて開催いたします。

ブルチーアはこの20年間で、色、構造、身体を重ね描くことで、多くの作品を通してモダニストの空想上の風景を探究し続けてきました。本展覧会にて展示される新しいペインティングのシリーズも、この長期に渡る探究の系譜に連なるものです。新しい時代になっても尚残る過去の痕跡に対して再び思いを馳せることを意図しながら、ブルチーアのペインティングはより大きな文脈に繋がる作品となっています。誰の目から見ても時が止まってしまっているように映る場面を描くことで、彼の極端にダイナミックな作品は、広く知られている歴史解釈を柔軟な視点で見直すことの必要性を示しています。このように、彼の作品は、政治体制に関する実体験について独自の視点を提示し、その芸術的な佇まいにより、同様のそれまでのものとは一線を画しています。

「The Far Sound of Cities」では、この過去の痕跡に対する思索を、幽閉された空間の描写を通して展開しています。作品の登場人物である若者たちは、期待に胸を膨らませながら、共に時間を過ごし、話したり、休んだり、長い余暇を楽しんだりしていますが、それはどこか退屈で重苦しいように見えます。彼らを取り巻く環境は間違いなく、形状や植物、模様、そして絶えず変化する色や日常にあふれたものが入り組む迷宮のようです。人々は、その構成や配置を慎重に入れ替えながら、ファッションデザインと映画の両方の影響を受けた様々なオートクチュールの衣装を身に纏い、華麗な場面の中に置かれていますが、その中で彼らはただ途方に暮れています。その様子はまるで、この空間から出ることができず、どこへも行くことのできない登場人物たちが、決して行われることのない祝いの席の準備をしているかのように、儚く無常に映ります。この、事事物物が絡み合い生まれた緊張感は、彼らの顔に奇妙なノスタルジーを感じさせるような表情を浮かばせるのです ― 悲しみに浸りつつも、穏やかで幸せそうな表情を。

画家の目を通して緻密に計算され、綿密に練り上げられたブルチーアの作品の雰囲気には、どこか教訓めいたものがあります。彼の作品の中で常に繰り返されるモチーフである花や植物は、絵の中に描かれている若者たちと同様に、つぼみの状態に留まることを強要されているかのように、いつまでも手の届かない自由という教えを表しているのでしょうか。この状況は逆説的に、窓の向こうに見える季節の移り変わりの様子と対比されており、それは作品に、観る者に畏敬の念を抱かせるような、目を逸らすことができない程の迫力という恒久的な力を与えています。展覧会のタイトルがランボーの詩から引用されているように、文学的、音楽的なモチーフをふんだんに取り込みながら、ブルチーアの作品は非常に精確な構成力により高みを極めています。登場人物たちの目に映る憧れは、実は、作家自身の憧憬を表しています。起こることのない何かへの郷愁、人生の美しさ、終末期に生まれることを運命づけられた若者。物事は、私たちが知るように、神の黙示録ならぬ通俗的な終わりを迎えるものです。そこで私たちに残されているのは、決して訪れることのない未来を装うことだけなのです。

スケジュール

2021年3月27日(土)〜2021年5月1日(土)

開館情報

時間
11:3019:00
休館日
月曜日、日曜日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.makigallery.com/exhibitions/4082/
会場MAKI(天王洲)
https://www.makigallery.com/ja/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 1F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6810-4850
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