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「中村功 新作展」

ヒノギャラリー
終了しました

アーティスト

中村功
ヒノギャラリーでは2021年3月8日(月)より「中村功 新作展」を開催いたします。

1970年代より作家活動を続ける中村は、その制作のほとんどを抽象絵画に向けてきました。そこには、平面という限られた空間に、構造や形態、また色彩といった至極シンプルな要素だけで、自己を超越するような時空を創出できるのではないかという、作家の期待と信念を見ることができます。そして、その試みにより生み出された一連の絵画を、作家は《意勢》と名付けました。

1980年から90年代、中村は画面の向こうに存在し得る不可視の世界へ到達したいと、キャンバスへ向かいました。言い換えればこれは、画面を覆い尽くすほとんどが自己によるもの、主観の域を超えないもので、その先の未踏の領域への羨望と憧れがそこにはあったのかもしれません。しかし、2000年代になると、画面の主体は徐々に自己から社会(現実)へと変化していきます。それにより制作も「描く」から「流す」といった受動的な行為へと変わっていき、より偶然性を尊重した画面を目指すようになりました。もちろん、作品をつくり出すのは作家自身なので、自己を完全に切り離すことはできないのですが、中村は社会や自然の中で起こる外的な事象を知覚することで、例えば、意図せず画面に現れる形象やマチエールに反射的に対応することで、主観を弱体化させ、結果的にキャンバスに滞留した色や形を作品としました。この頃の空間意識が、画面の向こう側からもっと手前の表面へと移っていたことも、制作における変化の一因といえるでしょう。

自己に潜むイメージの世界から、より身近な社会(現実)へと変遷した中村の視点は、近年、それらを凌ぐ「視えない外界」へとさらに移っていきます。この10年ほどで作家は、その世界を単なるイメージではなく、実在するのではないかという確信を持つようになったといいます。それが中村の内的な部分に帰属することは間違いないのですが、作品の中の自己はさらに減退し、それに代わって、自然を含む大いなる力が画面を満たしていく。近作がより激しさをともなった動勢を呈していることからも、それらは自己とも社会ともいえぬ何かしらの力が作家の身体に作用し、描かされできたものという印象すら受けます。視覚で感じ得る以上の蠢きを放つ作品は、「視えない外界」を感取した中村の新たな《意勢》の様相なのかもしれません。

ヒノギャラリーでは2年ぶりとなる今回の個展では、横3メートル近い大作を含む新作絵画を展示いたします。

スケジュール

2021年3月8日(月)〜2021年3月27日(土)

開館情報

時間
11:0018:00
休館日
土曜日、日曜日、祝日
備考
開廊時間 11:00〜18:00
入場料無料
展覧会URLhttp://www.hinogallery.com/2021/2464/
会場ヒノギャラリー
http://www.hinogallery.com
住所〒104-0042 東京都中央区入船2-4-3マスダビル 1F
アクセスJR京葉線・東京メトロ日比谷線八丁堀駅A2出口より徒歩3分、東京メトロ有楽町線新富町駅7番出口より徒歩3分
電話番号03-3537-1151
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