この度ザ·コンテナーでは、日本人アーティスト松延総司の「Ghost of Copy」展を開催し、サイト·スペシフィック·インスタレーションを展示します。松延の「Ghost of Copy」シリーズでこれまで発表されてきた80枚ほどの写真は、照明が落とされ、小ぢんまりとした雰囲気の展示環境を活かしたインスタレーションで発表されます。作品は、松延が滋賀の農村に置く作業場やスタジオ、周辺の自然、陶芸工房など、彼の日常生活に存在する様々なものとその模様を描写しています。
松延総司は今回、ザ・コンテナーで「Ghost of Copy」シリーズより新旧両方の写真作品を展示する。照明が落とされ、親密な雰囲気の展示空間を活かした、サイト・スペシフィックなインスタレーションである。滋賀の農村に置く彼の仕事場、スタジオ、周辺の自然、陶芸工房、彼の日常生活に登場するランダムなオブジェなど、様々なものや模様を描いた写真が発表される。彼の言葉を借りると、それぞれ、「反射、反転、反復」を強調する操作がなされている。また、イメージの魅力は、彼の他の作品でもそうだが、モチーフにヒエラルキーがないことと、正負のスペースの欠如にある。松延の制作活動全体に通じて言えるが、何かを定義することを避け、「中間」を捉える力は、ポジティブとネガティブが平穏に共存する抽象の尖点にイメージを創り上げ、被写体そのものではなく、その痕跡を強調する。グレースケールを優先し、デッドスペースを取り除くことで「相似」が写し出されていることも特徴的だ。それはつまり、リアルとバーチャル、具象と抽象、自然と人工、軽さと重さの接合だ。作品中、最も興味深いのは、幾何学的なものと抽象的なもの、自然物と人工物の「中間」が模倣されていることだ。どの正反対の境界も、―白と黒の間を繋ぐような― 美学的な方法によって、距離が埋められている。例えば、農業をテーマとした写真作品は、有機的な形状を一旦彷彿させるが、その模様は他方で、農業の機械化と大量生産を象徴しているのではないか。植物を被写体とした作品では、自然と数学の両方で現れる、幾何学とテッセレーション(平面充填)の模様が意識されており、19世紀後半から20世紀前半にかけ自然の形状と幾何学の関係性を表現したドイツ人写真家のカール・ブロスフェルトへのオマージュでもある。
本インスタレーションでは、ローテクなカルーセル・スライドプロジェクターを使って、「Ghost of Copy 」シリーズより約80枚の写真をザ・コンテナーの後方壁に投影する。この写真は、松延総司が10年以上にわたって考えてきたコンセプトや美学の多くが強調されており、彼の実践が要約されたかのようである。また、反復的なメカニズムで再生されるスライド・プロジェクションはバーチャルなスケッチブックのように作品を文脈化し、哲学的で美しく、生理学的で知的な卓越した物語の表象を可能にしている。