玉山拓郎 「Anything will slip off / If cut diagonally」

ANOMALY

poster for 玉山拓郎 「Anything will slip off / If cut diagonally」
[画像: 「豊田市美術館開館25周年記念コレクション展 VISION 光について / 光をともして」展示風景、豊田市美術館、愛知、2020 撮影: 村田啓]

このイベントは終了しました。

※ANOMALYでは、8月14日をもって閉幕した玉山拓郎 Anything will slip off / If cut diagonally を、期間限定で再開いたします。

現実世界のものの在り方や振る舞いを規定している「重力」を、最少の手つきですり替える本展「Anything will slip off / If cut diagonally」(斜めに切れば/何もかも滑り落ちる) は、ある種の既視感を観賞者に与えるものの、ニュートン力学に支配された世界では起こり得ない状況を、極めてアナログな手法で作り出します。
例えば、90度回転した床が壁の位置にあり、そこに置かれた (掛けられた?) プレートから (当然?) 滑り落ちるスパゲティ (皿とスパゲティの振る舞いはどちらが「正しい」のか) 。あらぬ方向に歪曲し、うな垂れている壁から唐突に突き出た「フロア」ランプ、ギャラリーの床の「地平線」とは違う角度で「水平線」を描く、グラスの中の固まった水・・・。

日常との力学的な小さな差異をオブジェクトに体現させ、空間に巨大な照明装置を援用することで、「どこでもない空間」を表出させる本展は、一見するとデジタル空間のような様相を呈します。しかし、マリオ・バーヴァやダリオ・アルジェント(*1)の映画のワンシーンを彷彿させる鮮烈な照明によって立ち現れるそれは、どこまでもアナログで制作されており、リアルな体験を迫ります。また彼が作り出す空間は、誰かの夢の中の情景、或いは『トワイライト・ゾーン』(*2) のような不条理さや、ディストピアを描くサイエンスフィクションのような奇妙さを想起させます。

「暗闇の中の薔薇は赤いか」「薔薇は誰も見ていなくても赤いか」といった問いに、色は我々の感覚なのかモノの性質なのかを考えたとき、それがモノの性質とするならば「薔薇は赤い」。しかし知覚こそが世界そのものの提示であるとするならば、「薔薇は赤くない」(*3)。この原理的な問いを思わせる今回の展示は、同時に鑑賞者の知覚の分かち合えなさ、誰も同じ色、ひいては同じ景色を見ていないかもしれない不安を投げかけます。その極限まで洗練されたコンポジションの、不思議な夢のようにズレを孕んだ空間に鑑賞者が介入することによって、そのズレを (自身の実感とともに) 表象する役割を鑑賞者が担います (鑑賞者がいるかぎり「薔薇」は赤いし、「ここでの力学」は間違っている) 。

通常の視覚を不確かにする、その光に満ちた空間にあって、3つの人の頭部と思しき円形に成形された滑らかな「表面」でしかない鏡を使った作品は、現実の空間を左右反転させて映し出し、「平坦な奥行き」という矛盾したイメージを形成します。インスタレーション内に生身の鑑賞者が立ち入り時々その鏡面に映ることで、「鑑賞者を作品の中に見かける鑑賞者自身」という入れ子構造とズレをつくり、ヴァーチャル空間の価値を軽やかに突き放し、どこまでも実物と実体験を伴ったアンファミリア(≒Unheimlich) な世界をギャラリーに出現させます。

本展覧会では、C2Dと玉山拓郎の2人のアーティストユニット「White Waters」を召喚し、作品《I alone can fix it.》を、会場通路部分で展開します。

メディア

スケジュール

2021年07月17日 ~ 2021年09月04日
開廊時間 12:00〜18:00、金曜日は12:00〜20:00、8月15日から8月25日は休廊

アーティスト

玉山拓郎

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