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[画像: 萩原英雄《ピクニック》1971年]

萩原英雄 「色に浮かぶ」

武蔵野市立吉祥寺美術館
終了しました

アーティスト

萩原英雄
「色」にはさまざまな含意があります。色彩、面差し、もののかたちやようす、気配、調子、ものの種類、性質、あるいは人間関係における意味あい、物質的存在や感覚されるもの・・・。

萩原英雄の作品はさまざまな「色」に満ちています。不透明水彩絵具に雲母を重ねたり、染料で摺った画面を部分的に脱色したり、あるいは「きめこみ」と萩原が呼ぶエンボス技法の応用や木版によるドライポイントなど、萩原が新たに考案し開発したさまざまな木版画の技法は、重厚で深くひろい色彩空間をつくりだしています。その豊かな色彩は、萩原自身が「自分に可能な限りでいちばん純粋な生き方」として選んだ画業において感受し、血肉とし、創造してきたすべてのものから抽出されているといって良いでしょう。もはや、たんに色彩というより、おおきな「色」として息づいているのです。

現代の芸術家として、現代にふさわしい新たな表現技術をもとめ続けた萩原ですが、木版画の制作において、描いたり貼り付けたりといった木版画以外の方法を併用するということは、決してしませんでした。たとえば今回ご覧いただく《ピクニック》シリーズも、にわかには木版画と信じられない作品もありますが、もちろんすべて木版画です。萩原は、自らつくりだした新技法を自在にあやつり、木版画をさらに自由な表現へとひらいているように感じられます。しかし、そこに至るまでの苦労は、並大抵ではなかったでしょう。「苦心を重ねて新しい技術を開発するのは、その技法でしか表現できない世界が、私のなかにあるからだ」と萩原はいいます。彼にとって、作品をつくるということは「生きることそのもの」であり、人生を学ぶことでもありました。

萩原の作品のうちには、彼の人生という得がたい「色」があります。否、萩原英雄という果てしない「色」のうちに、作品という瞬間瞬間が浮かんでいるのかもしれません。
*引用はすべて 萩原英雄『美の遍路』(日本放送出版協会、1996)から

スケジュール

2021年10月16日(土)〜2022年2月27日(日)

開館情報

時間
10:0019:30
休館日
毎月最終水曜日・年末年始は休館
備考
10月27日、11月25日・11月29日~12月1日・12月15日~2022年1月7日・1月26日・2月16日・2月24日は休館
入場料[常設展] 一般 100円 [企画展] 一般 300円、高校生・中学生 100円 [共通] 小学生以下・65歳以上・障害者手帳提示 無料
会場武蔵野市立吉祥寺美術館
https://www.musashino.or.jp/museum/
住所〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-16 FFビル7階
アクセスJR中央線・総武線・京王井の頭線吉祥寺駅北口より徒歩3分
電話番号0422-22-0385
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