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[画像: 平塚良一 “ sans titre 2020 s+31 ” 和紙に墨液 72.8×51.5cm 2020]

平塚良一 「avant / arrière」

s+arts
終了しました

アーティスト

平塚良一
s+arts(スプラスアーツ)より、平塚良一 個展「avant / arrière」の開催をお知らせいたします。
平塚良一は、独自の視点で見出された素材を用い、「現実を考える姿勢」について長年追求している作家だと言えます。彼のアプローチ方法はとても抽象的ですが、そこに含まれる意思は哲学的で、本質とは何か?としきりに問いかけてくるようです。近年の作品といえば、パネルに落ち葉を接着し、その上に和紙を載せて輪郭や葉脈を黒く写し取るフロッタージュシリーズ、鮮やかな色彩をフロッタージュの数ミリのずれに加えるシリーズ、規則的に小さなドットを配置したシリーズ、人型をした小さなフィギュアを配置した「開かれた孤独」シリーズ、墨を使ったシリーズ等、表現方法は多岐に渡り、平塚が常に新しい表現方法を探っていることが分かります。「絵画は、支持体に色を接着したり、削り取ったりすることで出来ている。」と平塚は捉えます。このような発想に至るのは、1960年代末から1970年代にかけて絵画に関する根本的な問題提起をおこなったことで知られているフランスの「シュポール/シュルファス」の理論を引き継いでいるからだと言えるでしょう。当時フランスに留学していた平塚は、絵画的なイメージを問題とするのではなく、絵画が現実空間の中での物体であることを顕在化しようとしたこの美術運動を目の当たりにし、大きな影響を受けました。「表面と支持体」という言葉が、平面作品を構造的に理解させたと平塚は語ります。
本展示タイトルの「avant / arrière」とは、フランス語で「表 / 裏」という意を表します。今回は、主に墨液を和紙の裏側から表側へ滲み出させる技法で制作された新作の発表をいたします。一度墨液が乾くと、そこからのコントロールは出来ず、例えば陶芸家が粘土と火炎に託すように墨液と和紙に制作を委託したことになると平塚は考えます。ただ、ここで注目したいのは、和紙の表、裏、更には支持体にまで墨液の痕跡が滲み出ている点です。墨を使用することによって現れる予想外の痕跡を、空間に存在する現実として受け止め、表裏問わず手を加えて作品が生まれてくるのです。
自然現象なのか、記憶の中に残された風景なのか、そこへ様々な方法で手を加えることにより、自身が存在している痕跡を残して行くのが、平塚良一の制作への姿勢だと言えるでしょう。様々な素材を扱う技術に長けている平塚が、偶発的に発生する自然の不思議に対し、作品制作を通じて模索いたします。新作の他、これまで未発表だった作品も本展にてご紹介いたします。

スケジュール

2021年4月2日(金)〜2021年4月11日(日)

開館情報

時間
12:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
会期中無休、不定休
入場料無料
会場s+arts
https://www.splusarts.com/
住所〒106-0032 東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル 3F
アクセス都営大江戸線六本木駅7番出口より徒歩3分、東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口より徒歩5分、東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口より徒歩6分
電話番号03-3403-0103
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