終了した展覧会・イベントです
[画像: Alec Egan, Miro’s Corner, 2021, oil and flashe on canvas, 228.6 x 198.1 cm]

アレック・イーガン 「Miro’s Corner」

MAKI(天王洲)
終了しました

アーティスト

アレック・イーガン
このたびMAKI Galleryでは、ロサンゼルスを拠点に活動するアレック・イーガンの日本で初めてとなる個展「Miroʼs Corner」を、天王洲ギャラリースペースにて開催します。イーガンによる華やかな色彩と形態の表現、そして独自の筆づかいは、アメリカ全土で高い評価を受けてきました。作家にとってアジアで初めての個展となる本展覧会では、代表作である室内画と風景画に焦点を当てています。魅力的でありながらも謎に満ちたイーガンの作品群は、観る者をその世界へ引き込もうと誘い、また私たちに深い内省を促すでしょう。

イーガンは自身の記憶とイマジネーションから生みだされる空想上の静物および風景の描写に、油彩を厚く盛ったインパストを用いています。彼の描く室内シーンはすべてひとつの仮想の家から派生しており、家具や本、靴などといった日用品たちを特徴づけています。これらの象徴的なモチーフはいくつもの作品を通して繰り返し登場することで、不在であるその家の住人への断続的な手掛かりとなり、ありふれた日常の中に深遠さを吹き込みます。ロココ調やヴィクトリアン調の装飾を思わせる豪華で生き生きとした花柄が各部屋を埋め尽くし、中心となる主題を圧倒しかけている一方で、窓や壁に掛けられている絵の中の絵画は、その小さな枠からもったいぶるように外の世界を覗かせています。

対照的に、イーガンの風景画は、閉鎖的で息苦しいインテリアセットから喜んで解放されるかのような、広大でオープンな空間を提示しています。鮮やかな色彩と大胆なフォルム、そして厚みに強弱を加えている絵具は、アメリカの感傷的なナショナル・アイデンティティに欠かせないʻ自然ʼを表現するために取り入れられています。砕ける波とくすんだ夕日は自然の美しく牧歌的な一面を醸しながらも、併せ持つ儚さや無情さも私たちに思い起こさせます。特定の時間や場所に縛られてはいませんが、それら風景は作家の故郷であるロサンゼルスの景色や地形の影響がはっきりと見て取ることができます。

さらにイーガンの作品にあるもうひとつの明確な特徴は、一貫して人物が存在しないことで、それぞれのペインティングにメランコリックで不気味な雰囲気が生みだされている点です。結果として生じる沈黙は、とらえどころのない住人と私たち両方の暮らしについて、静かに熟考する間を与えています。各シーンに登場するオブジェクトは物語を仄めかせていますが明確にはされていないため、観る者はそれぞれ個人的な体験に基づくストーリーを連想させることができるのです。

イーガンの郷愁を誘う空想画は、ゴッホから北斎まで幅広くおよぶ美術史的引用をふんだんに盛り込みながら、絵画の伝統に忠実かつ挑戦的に取り組んでいます。彼の作品は、私たちを作中へ引き込もうとしたり、時には押し迫ってきたりといった駆け引きが常に繰り広げられており、そこには内部と外部、二次元と三次元、現実と超現実、そして自然と人工といった相対する無数の力が存在します。これら対立する様々な要素や文脈、意味が複雑に混ざり合い、イーガンの作品というひとつの構造が作り上げられているのです。

スケジュール

2021年7月3日(土)〜2021年8月4日(水)

開館情報

時間
11:3019:00
休館日
月曜日、日曜日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.makigallery.com/exhibitions/4911/
会場MAKI(天王洲)
https://www.makigallery.com/ja/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 1F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6810-4850
関連画像

各画像をタップすると拡大表示します