終了した展覧会・イベントです

「Pictorially yours,」

表参道画廊
終了しました

アーティスト

小川佳夫、金田実生、小池隆英、中小路萌美、平野泰子、森川敬三、山口牧子、吉川⺠仁
「Pictorially yours,」は、英文手紙の結辞「Sincerely yours」(敬具)と「pictorial」(絵画の)という英単語を合成した造語です(英語として通用するかはさておき、字面から意味を何となく感じ取っていただければ充分です)。本展はいわば、観客の方々に宛てられた一通の手紙のようなものとして構想されています。

現在12名の作家と1名の美術史研究者からなる「Studio 138」という芸術研究会(2019年設立)があります。このたび、そのStudio 138の作家メンバーを主体とするグループ展のオファーが、表参道画廊から同研究会の方にありました。そこで、その1名の美術史研究者がキュレーターとなってStudio138の作家メンバーの中から8名を選び、「Pictorially yours,」展として彼らの仕事をご紹介する次第です。

本展の出品作家たちの間には、全員が画家でありかつ上記の研究会のメンバーであること以外に、全体的な共通性は特にありません。世代的には50代が多いですが、30代も二人入っています。また、皆いわゆる「抽象」的な画家ですが、その度合いや問題意識には一まとめにして扱い難い違いがあります。出品作家の中には、小池隆英や森川敬三のように、非対象の茫漠とした絵画空間を創り出す者もいれば、金田実生や中小路萌美のように、現実世界との視覚的関係性をある程度保持している者もいます。しかし、色彩同士の関係の問題に集中する小池がニュートラルに無題を貫くのに対し、森川は観者に連想を誘発するタイトルをしばしば用います。また、金田が自然現象中に漂う気配や外界に流れているエネルギーのようなものに関心を向けるのに対し、中小路は、彼女が目にする風景の構造へと迫り、世界の在りようを絵画として探り直していきます。吉川⺠仁と小川佳夫はともに、左官コテあるいはペインティングナイフによる絵具のペインタリーな扱いを特徴としていますが、吉川がその鋭敏かつ繊細な感受性をもって、自分を取り巻く自然から創造のインスピレーションを豊かに得るのに対し、小川の仕事は、画家としての彼と彼の人間存在の内奥にある何か衝動的なものや情動的なものとの対峙を感じさせます。山口牧子と平野泰子は、支持体と絵具層の関係ないし構造に関して、それぞれ興味深い実践をなしています。山口は麻紙の支持体に襞を寄せ、その裏面から表面へと絵具を滲み出させたりしながら、透明感と流動性のある複雑な色彩空間を作っていきます。平野は、サンダーで入念に研磨したフラットな石膏下地の上に何層もの異なる色彩を薄く塗り重ねる先に、崇高ささえ感じさせる深遠な絵画世界を生み出します。

本展の8名の出品作家たちの仕事はこのように多様ですが、彼らに関してここでひとつ確かに言えるのは、この時代にあって彼らが、絵画の持つ力をなお深く信じ、絵画としての表現、絵画というミディアムの新しい可能性をひたむきに探り続けているということです。これを本展のメッセージとし、本展に出品されたそれぞれの作品、そしてそれらが響き合う展示空間全体から、彼らの探求の意義を感じ取っていただけたらと思います。(本展キュレーター・大島徹也)

スケジュール

2021年11月1日(月)〜2021年11月13日(土)

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
日曜日
最終日は17:00まで
入場料無料
展覧会URLhttp://omotesando-garo.com/link.21/Pictorially_yours.html
会場表参道画廊
http://omotesando-garo.com/home.html
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-17-3 アーク・アトリウムB02
アクセス東京メトロ千代田線・半蔵門線・銀座線表参道駅A2出口より徒歩5分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩8分、JR山手線原宿駅竹下口より徒歩11分
電話番号03-5775-2469
関連画像

各画像をタップすると拡大表示します