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[画像: Brian Harte, Bedroom, (Part 2), 2021, oil and crayon on linen, 200.0 x 165.0 cm]

ブライアン・ハート 「8 Paintings ( from the midlands )」

MAKI
終了しました

アーティスト

ブライアン・ハート
このたびMAKI Galleryでは、アイルランドを拠点に活動する作家ブライアン・ハートによる日本で初めての個展「8 Paintings ( from the midlands )」を、表参道ギャラリーにて開催いたします。タイトルの通り、本展覧会ではハートによる8点の新しいペインティングシリーズを会場で展示します。本シリーズは作家の身の回りを描いた過去作の続きの一部分であり、自伝的および個人的なイメージを媒体として、現代における生活のより壮大な物語へと到達しています。

過去5年の間、ハートは脱構築された内装の描写に焦点を当ててきました。作家は画面上を前景と背景、壁と床といったように二分割する厳密な形式を採用しています。実践領域を制限し、決められた範囲内での制作に専念することにより、ハートは自身の視覚言語を発展させながら、親密でありながらも広大な空間を通して自身の主題を継続的に探究しています。

ハートの描くキャンバスは雑然としていて、不可解で不安さえ覚えるかもしれませんが、徐々にそれぞれのオブジェクトが実体化して姿を現すと、私たちの身近なものとして認識され始めます。フレームの中にはテーブルランプや家具、額縁、靴などの一般的な家庭用品が散りばめられ、それらはすべてキッチンタイルや塗装された広がりのある壁面に配置されています。形態を特定しづらい人物像が作品間を通して断続的に現れては消えてを繰り返し、彼らが何者であり、なぜそこに存在するのかについて各々自由に回答できる形式の問いを残しています。また、ありふれた品々や時折登場する人物たちはすべて、実際にハートの家庭の中から引用されています。ハートの妻と彼らふたりの子供たち、フィリップ・シーモア・ホフマンの写真、かつて義理の大叔父のものであった椅子、今では壊れてしまったパリで購入した彫刻などといったハートの生活の断片たちは、彼のペインティングが内包する騒然かつ緊張したカオスの中に巧みに織り込まれているのです。

これら作品たちは作家を率直に反映しているようにも見えますが、より深淵なる何かが作中には隠されています。本展覧会を代表する作品である「Bedroom, (Part 2)」は、寝室で眠るハートの妻の親密なシーンを描いています。しかし目を凝らしてみれば、絵画が秘めている夢のような異世界が解き明かされていきます。図像に対しての地平線が存在しないためベッドは水中に浮かんでいるようであり、その様子は気候変動を参照しているのかもしれません。「P. Chair, (Paddy's version)」と「P. Chair, (M and J)」では、何世代にもわたり家族と共に過ごしてきた、妻の大叔父の椅子がメインとなるように配置されています。自由のために戦う革命的な闘士であった大叔父の記憶を椅子に根付かせ、過去へ繋がる入り口へと変えることで、時間と空間の旅を可能にしています。

ハートの有機的に構成されたダイナミックなペインティングには、作家自身とその周囲についての痕跡が含まれていると同時に、語られざる物語への手掛かりや未踏の世界へ続く道が複雑に組み込まれています。ありふれた毎日が堆積された中に抽象化のレンズを投げ込むことで、ハートは日常生活の継続的な質感を捕らえようとしています。作家の描く様々なオブジェクトや引用から家庭内の空間を垣間見ることができ、そしてそれらは自身の物語を上演するよう促す視覚的触媒となるのです。どうぞこの機会に、ブライアン・ハートのアジアでも初の展覧会を、MAKI Gallery / 表参道, 東京にてご高覧いただけますと幸いです。

スケジュール

2021年7月10日(土)〜2021年8月7日(土)

開館情報

時間
11:3019:00
休館日
月曜日、日曜日
展示期間以外は不定休
入場料無料
展覧会URLhttps://www.makigallery.com/exhibitions/4985/
会場MAKI
https://www.makigallery.com/ja/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-11-11
アクセス東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A2出口より徒歩2分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩6分、JR山手線原宿駅東口より徒歩10分
電話番号03-6434-7705
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