会田菜美は、女性特有の柔らかさや優しさ、不安定で流動的な部分を美と捉え、色鮮やかなアクリルを使いデフォルメした女性で表現するのが特徴的な作家です。彼女の作品に登場する女性はどれも、意味有り気に動物や植物を身に纏っていたり、体の一部として取り入れていたりすることが多く、美しい女性が描かれているはずなのにどこか歪で、見る者に不思議な違和感を覚えさせます。それは、より一層見る者の想像力を刺激するように、会田が作品に施した、小さな仕掛けが作用しているからだと言えるでしょう。時に視覚的イメージは、見る者の解釈によって意味合いが大きく変化することがあります。同じ作品でも、人によっては悲しい作品にも優しい作品にもなり得ます。会田は、「私は作品を見た人が、その人の思ったままに解釈して受け止めてくれたらそれが一番です。私が作った作品は80%です。残りの20%は皆さんが作品を見たときに感じた感情で完成します。自由に見てください。」と自身の作品について話します。
本展「As you can see」では、鑑賞者に最終的な意味合いを委ねる形で描かれた作品を軸に発表いたします。作品がどのように見えるのか自問自答することで、新たな視点を見出せるきっかけに繋がるかもしれないと願い、会田は制作を続けています。これを機に、会田菜美の新作展を是非お楽しみくださいますようお願い申し上げます。