ギャラリー・エフ スーザン・ピーチは、貴金属の細工技術を習得し、ドイツの応用美術専門学校で学んだ後にジュエリー・アーティストとしての活動を始めました。アクセサリー、オブジェ、インスタレーションなど様々な表現方法を用いながらも彼女の視点は一貫しています。それは、日常で見過ごされてしまうささやかなものに、その美しさや意味を見いだすことです。
彼女が作品のモチーフとするのは、砂糖やチョコレートをはじめ、私たちの日常にあふれるものばかりです。安価で珍しくないものを、一般的に高価で貴重だとされているジュエリーやアートオブジェに置き換えることで、私たちの常識的な価値観に問いかけます。スーザン・ピーチは、素材や機能、そして価値を組み替えることによって生まれるオブジェを「アートなのか、ジュエリーなのか」という問いに対して答えることに興味を示しません。彼女の関心は、絶えず新しいアプローチを開発し、型にはまった概念を壊すことへの挑戦にあります。彼女にとってより重要なことは、観る者が驚き、「日常」を正確に見つめ、日々の暮らしのいたるところに存在している「価値あるもの」への発見を促すことなのです。
日本で初めてとなる個展のテーマは「貴重品」。展示される作品は、砂糖やチョコレートを素材にしたアクセサリーやオブジェ、日本の伝統的な紋様をプリントしたマスク、そしてマンガのキャラクターを磁器によって成型したフィギュアなどです。震災や空襲にも耐えた堅牢な土蔵の中で守られるように展示されるジュエリーやアートオブジェ。それらはごくありきたりな素材や使い捨てられてしまうモノをモチーフに作られています。私たちが貴重なものと、そうでないものを線引きする当たり前の感覚を柔らかく刺激する展覧会が始まります。
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