photographers’ gallery写真という視覚メディアが、美術作品のように展示されることに対して、一般的に承認されるようになったのは、そう古いことではありません。プライヴェートな記念写真から、実用的な資料としての記録写真、さらには広告や報道といったマスメディアにおける写真まで、その裾野を広げる写真において、画廊や美術館に「芸術作品」として展示される写真のみを特権化することはきわめて難しいでしょう。
このたび出品を依頼した写真家は、いずれも撮影された場所や、その意味を特定することが困難な風景を、撮影しています。そのような「場所」の不明確さに相対して、たとえば今回のように新宿という特定の場所のみにおいて写真が展観されるという事は、一体どういった訳なのでしょうか?
本展では、2人の写真家の作品に基づき、写真とそれにともなう「場所」の諸問題を、ギャラリーという特殊な空間において考察します。しかし、それは写真というジャンルのみの問題ではなく、世界のグローバル化によって「場所」の固有性が不確かなものになる一方、民族的な原理主義のように「場所」の固有性に根ざした、暴力を伴う対立が激化しているという、両極的な「場所」を生きる私たちにとって、極めて現代的な「問い」になることでしょう。
土屋誠一(美術批評家)
まだコメントはありません