nca | nichido contemporary art前回2003年7月の個展以降に撮り下ろされた30数点を展示、発表いたします。
展覧会タイトル“オデュッセイア”は、伝説的な詩人ホメロスの作とされる古代ギリシアの叙事詩です。王である英雄オデュッセウスが各地を放浪して行った貴種流離譚の冒険で、自分探しの長い航海を綴った物語です。紀元前8世紀頃に成立し、盲目の吟遊詩人たちが音楽と共に吟唱しました。
佐内正史の写真作品は、詩的で、捉えどころのない不思議なオーラを纏っています。日ごろ私たちは、ふと、一人に立ち返り、自ら歩んできた記憶の軌跡を辿ります。印象に残る強いイメージは、時に私たちを虜にしたり、自由にしてくれたり、過去から遠い未来へと自在に連れていってくれます。私たちは現実の狭間で自己存在を見いだそうとします。佐内は、さまざまなイメージが飛び交う街角の風景や、自然の中に溶け込む、内的な空間世界を一瞬の内に捉え作品へと昇華させます。時には異次元への扉であったり、空や水に映し出された私たちのイマジネーションであったりと、それは、「どこでもあって、どこでもない風景」なのです。佐内の撮る心象風景は、詩的で、透明感があり、自身を消し去ることから始まっているのです。そして、観る者をフレームという枠から飛び越えた自分探しの旅“オデュッセイア”へと誘ってくれるのです。
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