URANO渡辺豪(1975年兵庫県生まれ)は、これまで、頁数以外何も書かれていない真っ白い書物、女性モデルの顔面に白い化粧を施し、白い鬘を被せた真っ白いポートレイト作品などを発表してきました。
近年では、そこから更に発展し、写真と3DCG、バックライトを用いた新たなシリーズ’フェイス(”ポートレート”)’を制作しています。コンピュータ上で作成した3D形体の顔に、実在する人の表面(皮膚)の画像を貼付け、半透過フィルムにプリントしたライトボックス作品は、観る者に強い存在感と同時にそれとはまったく正反対とも思える不可解さ、不在さをも投げかけてきます。その大きな瞳で眼差しを投げかける少女は、一切の個性を剥奪されながらも、強く真っ白な光を放ち、ある種の神々しさのようなものさえたたえています。
それは、誰とも判断できないという匿名性にとどまらず、ヒトともモノとも言えない、指し示すことの出来ない領域を感じさせ、視る者と視られる対象どちらにも属さず、又どちらにも存在を与えるような、自律性を持った境の面を浮かび上がらせているかのようです。言うなればまさに「境面」そこに、渡辺の興味はあります(展覧会タイトルである「境面」とは、作家による、境(border)と面(face)の造語です)。
人類は、自己、世界、人、生命などのあらゆる「境」について考え、画定し、争い、また「境」で彷徨ってきたとも言えます。それは、クローン技術を筆頭に、テクノロジーの発展にともない、ますます複雑で深刻な様相を呈しています。渡辺の作品から誘発される「境面」は強い磁場となり、我々をもう一度「境」に立たせ、思考を差し迫るような強いインパクトを与えることでしょう。
オープニングレセプション:9月15日 (土) 18:00 - 20:00
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