神奈川県立近代美術館 鎌倉このたび「線の喜び・デッサンの魅惑」と題し、収蔵品のなかから選んだ魅力的なデッサンの数々で構成した展覧会を開きます。
鉛筆や筆を手にして紙に最初の線を引くとき、画家たちの誰もが新鮮な喜びを覚えます。線を重ね、やがて形が現われ、色を差していくと、画家それぞれの個性的な絵が生まれます。何かを写生するのであっても、頭のなかに浮かんだイメージを表わすのであっても、絵の始まりを印すデッサンには初々しさが息づいています。墨の線、鉛筆の線、ペンの線、それとも色の線、画家たちは線の役割の大事さを知っていて、線の習練を怠ることがありません。
神奈川県立近代美術館には、1万点に近い作品が収蔵されていますが、そのなかには、画家や彫刻家たちが、自然や人物を観察したり、作品の構想を練ったり、下絵や習作として描いたりした素描も数え切れないほど数多くあります。その大量のデッサンのコレクションから、安田靫彦、前田青邨、青山義雄、野口彌太郎、鳥海青児、四方田草炎、海老原喜之助、原精一、松本竣介、麻生三郎と、1900年前後に生まれた日本画家、油彩画家たち10人のさまざまな性格をもつ素描作品を選び出しました。線だけで描いたもの、色をあしらって変化をつけたもの、むしろ色を主にしたもの、どれもがデッサンの魅力をたっぷり湛えています。全体で約70点の、変化に富んだこれらのデッサンを通して、それぞれの個性が浮き出す線と色の扱いを楽しみながら、画家たちの悦びにあふれた絵の始まりに触れる機会をもってくださればと思います。
今回展示されるデッサンの多くは、作家、作家のご家族、収集家の方々からご寄贈いただいたものです。ここにそのご厚意に対して深く感謝の念を表わします。
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