Otherwise Galleryブロンズの可能性に挑み続ける彫刻家、伊藤一洋の新作展「The baby can dance, phantom cry」をご案内申し上げます。
ブロンズはその耐久性から、長い間彫刻素材として広く用いられてきました。しかし、厳密に言えば一般的なブロンズ彫刻は、粘土やその他の素材で作られた「作品」を長期にわたり保存する為にブロンズに置き換えられたもので、生まれながらにして「複製」という宿命を負っています。原型から鋳型を起こし、そこへブロンズを流し込むという一般的な過程と比べ、自らの思考と手、そして作品との直接的な関わりに彫刻的作業の重要性を見る伊藤の制作過程は極めてシンプルです。ブロンズ鋳物製品や彫像などが出来上がる過程で生まれる湯口(溶けたブロンズを注ぎ込む口)と湯道(溶けたブロンズが流れる通路)を溶接で組み合わせ、「彫刻」という形が見えるまで削り、磨き続けます。特に恣意的に作り出された形体ではなく、不要な素材である湯口や湯道は、ある種偶発的な出会いにより彫刻的な命を与えられます。
約1000度で一度溶けたブロンズが、ゆっくりと凝固していく過程で作り出す黒く荒いテクスチャーや、顔が映るまで磨き込まれた表面は、生物や植物の一部またはそれらが変形した様を連想させる有機的な形と共に、非現実的な塊感を主張します。
「『無』から形を作り出すのではなく、空気中から彫刻のかたちを見つけ出し、いかに素材に定着させるかが彫刻家の仕事」と語る伊藤一洋の新作展、この機会にぜひ是ご高覧ください。
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