ギャラリー坂巻表面にぶつぶつが出てきて、ざわっと伸びて集まって、それはまるで生きているかのよう。
磁石に反応する黒い液体。磁性流体を初めて見たとき、その奇妙なリアルさに戸惑った。CGや映像では見慣れた、ただし、現実には実現するはずのないリアリティ。それが実在して、目の前にある。
それでも、磁性流体のかたちは、CGのように自由には動かない。物質の世界の重力や磁力の法則に従って、不思議に植物や花や動物のかたちに似てくる。
このとげとげは何に見える? ・・・・・スイレン
このとげとげのかたちは? ・・・・・ハリネズミ
そうやって素材とイメージの対話を繰り返しながら、これまで、さまざまな磁性流体の作品が生まれた。
ほとばしるようにエネルギッシュな液体による造形は、生きているかのようにエロティックで、ときに禍々しく暴力的な姿を見せる。その姿に魅せられ、私は常に、物理的実体としての素材の持ち味を極限まで引き出すことに腐心している。
誰も見たことのない美しい人工物の姿―まだ見ぬ未知の大陸が広がっているのだ。
児玉幸子 (こだまさちこ)
まだコメントはありません