ギャラリー舫土屋は中国文化に惹かれ東京外国語大学において中国語を専攻しました。卒業後、広告会社でパンフのレイアウトなどの仕事を経た後、本格的に油彩の勉強を始めたのは32歳になってからです。「自分も絵を描いて見たい」そう考えた土屋はアメリカに渡りました。油彩塾のあるミネソタの大きな自然の中で修練を積んだことは彼の後の画業に大きな影響を及ぼしました。土屋の作品に一貫しているのは、写真を撮るように冷静な目で観察し簡潔に描くということです。「対象を描く事は対象物を実感する事、そして自身の感覚を実現する事」描くことは体感すること、と彼は言います。描くことは対象物を理解することであり、実際に体感しないと理解することはできないのだというのです。そのために彼が重視しているのは光と影によってクローズアップされる対象物の存在感です。光が当たることで浮かび上がる花瓶、柔らかな日差しに包まれた人物、風景の中で光の当たらない場所に漂う、取り残されたような孤独感。それらは、土屋自身が実際に体感したものなのでしょう。油彩画で言えば、アンドリュー・ワイエスの静寂とエドワード・ホッパーの虚無感、水彩画ではウィンスロー・ホーマーの透明感。しかしながら土屋の作品には陰鬱な影は見られず、むしろ輝くように明るく希望に満ちているようでさえあります。他方、土屋は小磯良平大賞展出品作に見られるような、強いメッセージ性のある作品も描いています。「歴史にも社会、そして個人にも何かを隔てる壁が存在する。それを乗り越える希望が欲しい」大作から静物画、水彩の小品まで土屋の作品には希望に輝く未来が見えます。生きることが困難な現代において、土屋は優しく私たちを励ましてくれているようにも感じられます。
[画像: 「「御堂」 (2002) キャンバス、油彩 100号 (172x120cm)]
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