SCAI X SCAI本展は、アーティスト・イン・レジデンスプログラムによってドナ・オン(シンガポール、1978年生まれ)とティアゴ・ホシャ・ピッタ(ブラジル、1980年生まれ)が東京に3ヶ月滞在し、その経験をもとに制作した作品を発表する展覧会です。
アーティスト・イン・レジデンスという体験は、アーティストにとって、複雑で相反するものではないでしょうか。初めて東京に滞在するアーティストは、すぐさま「根なし草」状態に直面し、そのなかで自分なりの居場所を見つけ、様々な関係性を構築していかなければなりません。言葉の壁を含む様々な状況に、アーティストはどのように対応していくのでしょう? そして、彼らにとって見知らぬ地を馴染みのある地に変えるものとは何なのでしょうか?
アーティスト・イン・レジデンスがアーティストにもたらす困難な状況は、カリブ系フランス人の作家、エドゥアール・グリッサンのいう『<関係>の詩学』における状況とそれほど違いがありません。カリブ系フランス人文化のポスト植民地主義的な体験を書いたこの本は、『<関係>の詩学』とは、固定した絶対的なルーツがないまま、多様な状況を経験することと語っています。グリッサンの言うアイデンティティとは、関係性のなかでこそ発展していくものであり、孤立のなかで養われるものではありません。
アーティストが初めての地で人々と出会い、知らない場所を訪れ、物事を解釈し、発見を重ねる過程では、関係性の構築が果てしなく繰り広げられます。これにより生じる度重なるズレこそが、旅するアーティストの創造性を形成していくのではないでしょうか。ドナ・オンとティアゴ・ホシャ・ピッタが東京滞在中に制作した新作からは、こうした逸脱の片鱗を見ることができるでしょう。
バッカーズ・ファンデーションは、オーナー型経営者が集まり社会貢献事業を行う任意団体で、2007年以来、現代アートの支援を行っています。本プログラムでは、2名の若手アーティストと1名のキュレーターの、1~3ヶ月間の東京滞在のサポートを行っています。NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]は、バッカーズ・ファンデーションと共に、日本に滞在するアーティストとキュレーターの招聘、および本展のキュレーションを行っています。
オープニングレセプション: 6月13日(金)18:30-20:30
[画像:ドナ・オン 「出会い」、2008年/ ヴィデオ]
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