ギャラリー・ストレンガーギャラリーストレンガーでは若手彫刻家、山崎龍一の個展 「I Want to be Loved Culture-bound syndrome Ⅳ 」を開催する運びとなりました。近年一貫して文化依存症候群と称される心の壁の前で立ち止まって動けなくなってしまう子供たちの精神疾患を見つめてきました。
この子たちは私たちが疲れた時、休みたい時、独りになりたい時に一緒にいて、愛してあげたくなる子供たちです。今回は新作の立体作品の他、板パネル、ノートブックや紙切れに描かれたドローイングを発表いたします。つきましては、本展の広報にご協力いただけますようお願い申し上げます。
白いフードで全身を覆う子どもたち。冷蔵庫の中に潜んでソーセージを食べていたり、ぶち切られた扇風機のコードを手に握っていたりと、思いもよらぬシチュエーションを淡々と繰り広げながら、彼らは一様に「どうせ・・」という後ろ向きな心のつぶやきを滲ませる、憂いを帯びたような表情を浮かべています。
比較的大きめの作品からはパッと目に入ってきたときにそれなりのインパクトを受ける一方で、機動力が発揮されるコンパクトな作品となると、それはもう縦横無尽に空間のいろんなところ、例えば気配を感じて振り向いた柱の影や天井に設置されたエアコンの上、さらには梁と天井の間といったあらゆる物陰や隙間からこちらへと訝しげな視線を寄越してきます。それらと目が合った瞬間、見つけちゃった嬉しさと見られてたことへの奇妙な気まずさとが綯い交ぜになって、心にぷわっと滲み湧いてくるんです。
山崎龍一が作り出す石膏による作品群には奇妙な共感を覚えます。子どもらしい、社会への無垢な反抗や反感に対する懐かしい感触。今となっては案外どうでもいいことに対して強く持っていたあの頃の不安や不満を再び思い出させるほどに、彼らの表情は深く、ていねいに作り込まれています。そして、そういったマイナスの感情にユーモアとシュールな味わいもたっぷり注ぎ込まれることで、作品ごとに醸し出される世界観がただ暗いものに押し留められることなく、エンターテイメント性にも富み、可笑しみや面白みも豊かに伝わってきます。
さまざまな仕草や表情を浮かべる作品、彼ら1体1体、ひとりひとりとの出会いがひとつの世界を紡ぎ出し、ひとつの時間と空間を築き上げます。無垢でかわいくて懐かしくて、緩やかにその作品への愛おしさも心に浮かぶのと同時に、どうしても詰め切れない距離感、あと一歩のところで拒絶されるような感覚も強く感じます。
(作品解説 幕内 政治)
[画像:「やる気なし」(2008)、 paint on plaster、7.3x27.3x23cm、Private collection]
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