GALLERY SPEAK FORパユン・ワラシャナナンは、タイでいくつものベストセラー書籍の装画を手がけ、雑誌や広告制作で活躍している売れっ子イラストレーターでありながら、日本のカルチャー全般に憧れ続け、その思いが高じて2008年から多摩美術大学に留学している異色の経歴の持ち主です。
そんな彼女が日本に引かれている理由は、代官山の街に凝縮されている、と言います。東京に来て間もなくアルバイトに就いた先がこの街だったこともあり、タイにはない、空間デザインのきれいな街として愛着を深めていきますが、知れば知るほど代官山が秘める多彩な"コントラスト"に関心が高まっていきました。大きな街にも見え、小さい街でもある。ショッピングエリアのようで住宅地でもある。新しい街のようで古風な店も多い。忙しい街のようで癒しの雰囲気もある。などなど、好奇心は次第にエスカレートし、電車を乗り継いで代官山に通っては風景や人物をモチーフに作品を描き始めるまで時間はかかりませんでした。
本展は、そんな彼女の絵の楽しさに着目したGALLERY SPEAK FORの勧めで開くことになった、初めての個展です。代官山の街を散策し、目に留まったモチーフの数々を写真に収めては、1点ずつ具象画に仕上げていきました。その数、60点余り。代官山を知る人なら見当がつく、あの人、あの建物、あの看板など、見慣れた光景がパユンの眼を通して定着される時、意外な新しい発見を私たちに与えてくれるでしょう。独特な柔らかいカラーバランスで描かれるイラストレーションの数々は、得も言われぬ和みと、街に生きる素朴な悦びをくっきりと彫り起こして見せます。
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