まさに泉にとって作品とは、完成させることに目的を置くのではなく、過去と今を、現実と虚構を、生と死を、連なりとなって幾度となく往来するための作業なのです。泉の作品はその狭間の媒介者として、私たちの目の前に姿を表しています。今回の新作である、大胆な筆致と淡い色使いで描かれた「A scenery like a corsage or a demon/コサージュもしくは鬼のような風景」は、夜景と、人が立つ海辺の写真の組み合わせで描かれています。そのぼんやりとしたイメージは、ちょうど残像のように私たちの記憶へと深く染み渡ります。そして、観ている私たちの耳元でそっと囁くかのように、作品から軽やかな息づかいを感じるとることができるのです。是非両展ともに足をお運び頂き、泉の織りなすいくつもの物語をどうぞゆっくりとご堪能ください。
[画像:泉イネ「I was not a dress (forth sister's dress as a motif) 」Courtesy of Ine Izumi]
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