Up & Comingアーティスト
川上秀行、多田ひと美、森浩一郎、山口崇洋 他
この百年の間に地球は、人口の急増や都市化による環境への影響によって、その姿を大きく変えてきた。これを外的な変化とするならば、映像や情報メディアによる経験の拡張は、わたしたちの心の領域に内的な変化を及ぼしてきたと言っていいだろう。前者は破壊のイメージに集約されるが、後者が人間の意識や感覚に何をもたらしているかは、まだほとんど分かっていない。1912年ひとりの若き芸術家が実験的映像に触発され『階段を降りる裸体』を描いたが、それはメディアが切り拓く新たな創造の地平を予告しただけでなく、内的世界へ降りてゆくための「階段」を探せと、それとなく示唆していたのかもしれない。
メディア芸術の専門的教育機関としてスタートした情報デザイン学科情報芸術コースは2012年「メディア芸術」コースと名称を改める。その節目にあたり開催される「ミスコンバージョン」展は、映像作品からインタラクティヴな作品まで、メディア芸術の幅広い領域で探求を続ける若き才能たちを一堂に会しての展覧会となる。方法論も表現も実にユニークでオリジナリティに溢れる作品ばかりであるが、タイトルと無関係というわけではない。 カメラから衛星までわたしたちが手にしているメディアはこれまでにないほど豊かでパワフルだが、メディアはどのようなものであれ「変換」する。光が化学的に変換されなければ視覚経験とならないように、メディアもまた変換をとおしてさまざまな経験を可能にするが、芸術の重要な貢献は、そこに人間の想像力を介在させるところにある。この展覧会では世界と身体をつなぐ回路に起きる無数の変換は、飛躍やショートや偶然性によって心の回路そのものを開きつつ、その内部へとわたしたちを誘っている。
その意味で「誤変換」とは創造性の別名にほかならない。世界を変換するメディア芸術の情熱と信念を感じていただければ幸いである。
まだコメントはありません