taimatz(タイマツ)佐々木憲介のペインティングは、デビュー当時から「表層的であること」に執着してきた。大量生産される、雑誌や広告あるいは映画などのイメージを好んでモチーフとして取りあげ続けていることも、彼のスタイルである「表層的であること」と無関係ではない。そんな佐々木の新作ペインティングは、現実と幻想の揺れをテーマとしている。連日、新聞や雑誌で報道される「現実」。それらの写真をキャンヴァス上に、いわば「コピー」する作業から生まれた新シリーズは、メディアにオリジナルの写真を説明するテキストとあわせて、その写真から佐々木が連想した「空想のストーリー」を暗示する言葉が記される。たとえば「パレード/カザフスタンの首都アルマトイで野党支持者が抗議集会を開いた」のように。オリジナルイメージに忠実でありながら、独特の筆致によって幻想的で甘美なイメージへと変化を遂げた佐々木のペインティングは、そのようにして、特定の意味をたたえる容れものとしての絵画の可能性と限界を問いかける。現実と幻想のあいだの揺れのなかに存在する絵画の多義性とはどのように向き合うのか、幻想=物語として世界を語ることの意味とは何か。主観と客観、内容と形式といった古典的な絵画の命題にも意識を向けながら、佐々木の新作ペインティングは、今、絵画によって物語を紡ぐことの意味を模索している。
[画像: 佐々木憲介 「パレード/カザフスタンの首都アルマトイで野党支持者が抗議集会を開いた」( 2012) oil on canvas 72.7 x 90.9 cm Kensuke Sasaki]
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