[画像: アレキサンダー・ティネイ「Red boots」(2021) Oil on canvas 200×140cm]

アレキサンダー・ティネイ 「Saved for fire」

アンドーギャラリー
本日まで

アーティスト

アレキサンダー・ティネイ
アレキサンダー・ティネイは1967年モルドバ生まれ。1991年キシナウ・レーピン・ステート・カレッジ・オブ・ファイン・アート卒業。身体に神秘的な青い線が描かれた若者の肖像画で知られるアレキサンダー・ティネイ。その魅惑的で謎めいた絵画によって国際的な評価を獲得してきました。
ティネイは近年「ルーツ」をテーマとする作品を制作しています。私たちはこのルーツという言葉を次のような場合に用います。あるときは、植物や木々を支え、養うために大地を掘り進む、複雑な根茎を表すために。またあるときは、何らかの発想や問題、あるいは家族、民族、文化の源泉を指し示すために。さらには、身体の器官や構造のなかに埋め込まれた諸部分を描き出すために用いられることもあります。この言葉の豊かな喚起的性格と、それが描き出す複数のイメージは、ティネイにとって理想的な探求の源となっています。
過去の作品において、身体に描かれた青い線はティネイの複数の主題を様式的に結びつけることに寄与してきました。これらの線は一見すると刺青や部族の刻印を連想させますが、実のところそれは感情を表現する記号であり、現代を生きる若者たちの苦痛や喪失の象徴として描かれています。現代社会では、共同体や家族は以前ほど信頼のおける単位でなくなり、かえって断片的で不安定なものとなりました。その結果、社会は若者たちに対して、分裂と喪失の感覚を広めることになったのです。ティネイ本人もまた、そのような経験をしてきたといいます。彼は旧ソ連の衛星国モルドバで育ちました。モルドバ語ではなくロシア語を喋り、ソ連軍で二年間の兵役に従事しました。彼はロシア語話者として、ロシアのおとぎ話を聞き、ロシアの英雄や、文学的・芸術的な威光を学んで育ちました。しかし、彼はモルドバ人でした。ティネイはおのれの新たなアイデンティティを探しはじめ、それをキリスト教の信仰のうちに見いだしたのです。ティネイは西側諸国を旅し、より最近の美術史や現代美術の実践を発見するにつれて、彼自身のルーツの体系はさらに拡張していきました。知識のみならず、制作の地平までも広がり、近年その作風は自由度を増してきています。
私たちがもつルーツの体系は、もはやひとつの木に縛られていません。それは私たちの故郷、国家さえも超えて広がっていくでしょう。さらにその体系は、すでに人間の経験に留められてすらいません。というのも私たちの生は、仮想世界と人工知能への依存にますます影響されつつあるからです。急速な成長をみせる脳内地図と同じく、私たちのルーツはますます複雑なものとなっています。ティネイの絵画は、次のことを示しています。「たとえ私たちが自身を支えるための新たなルーツを必要としているとしても、いまや私たちの生は予測不可能であり、それに立ち向かうことを学ばねばならない」ということを。日本で3回目の個展となる本展「Saved for fire」では、新作絵画9点余りを展示いたします。どうぞご高覧ください。

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スケジュール

2021.09.28(火)~2021.11.27(土)

会場の開館情報

11:00 ~ 19:00
月曜,日曜,祝日休館
入場料無料
会場アンドーギャラリー
http://www.andogallery.co.jp
住所〒135-0023 東京都江東区平野3-3-6
アクセス東京メトロ半蔵門線都営大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩12分、東京メトロ東西線木場駅3番出口より徒歩15分、都営新宿線菊川駅A4出口より徒歩16分
電話番号03-5620-2165

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