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[画像: Hiroka Yamashita, Soot, 2022, oil on linen, © Hiroka Yamashita, Photo: Hayato Wakabayashi]

「マイケル・ホー、ス・ユーシン、山下紘加」

BLUM
終了しました

アーティスト

マイケル・ホー、ス・ユーシン、山下紘加
Blum & Poe (東京)では、マイケル・ホー、ス・ユーシン、山下紘加によるグループ展を開催いたします。1991年生まれの3人による作品は、素材そのものと内的様相を比喩的に表出させ、心象風景が立ち上がっては出会う場として、地球とそれを取り巻く概念を掘り起こしています。本展では地上、地下、その境界を想起するような異なる階層を備えた各作家の近作群を紹介いたします。

台湾・花蓮県生まれのス・ユーシンは、天然の鉱物や貝、半貴石からなる顔料と膠を合わせる日本画、あるいは日本画的な絵画の技法を学びました。スは、大地の表面から切り取るように自然から調達したこれらの素材を活用して、自らの手で形作った木材ブロックを幾重もの色と流動的な曲線が織りなす地形に見立て、その上に新たな秩序を創り出しています。本展は、他にも、物理的にこの世界を構成する物質についての分類図や、人間の介入によって変化していく自然の威力を追跡する図版とも呼べる作品の数々とともに構成されます。その触知的な感覚をもった作品群は、フォーマリスティックな絵画史、美の伝統、近代的な経済と文化システムが持つ機能についての言及であると同時に、ミクロかつマクロな生態システムに対する人為的危険の意識を内包しています。

山下紘加の風景画には、作家の心的情景の断片や、山々に飛び込むように、あるいは、空に散り散りと溶けゆくように描かれた霊的な像が隠されています。兵庫県に生まれた山下は、現在の拠点とし、心を寄せる岡山県の田園地帯の風景といった、自身が由来する土地との結びつきや、自然とその土地のコミュニティとの親交からなる日常生活の営みから着想を受け、画題に取り入れています。人間が里と平地の境界地で自然と触れるように、逐語的なものが具象性を帯びたものへと拡がりをもって展開していく様子が画中にも描かれています。そこに表れているのは、個人の想像の産物というよりも、むしろ周囲の森や移りゆく四季と調和する地母神のような集団的精神性だと言えるでしょう。

マイケル・ホーの作品を満たす灰色のヴェールは、植民地時代の遺物や他者の異なる経験、奇妙さ、古くからの言い伝え、愛する者との記憶などが横たわる深い潜在意識に私たちを誘います。キャンバスの裏面から背景を絵の具で描いて前面に押し出し、ようやく最終的なイメージを描くホーの手法でみられる裏から表への横断的な動きははざまの存在を想起させ、それは中国からの移民2世としてオランダに生まれ、ドイツで育ったホーの生い立ちに無関係ではありません。本展を構成する、水面上を疾走する馬脚のギャロップと対照的な水面の流動的な屈折に映る不明瞭な馬の胴体を切り取った作品「Into the Shores of the Night」で展開されるナラティブにも、このような「動き」が示唆されています。まるで、ジャン・コクトーによる『オルフェの遺言』で描かれる吟遊詩人を魅了する人間馬のように、ホーの黒い馬も、水たまりと謎めいた大草原を踏み締めた地面の先にある地下世界に、私たちを先導しているかのようです。

それぞれが多様な文化的背景のもとに育ち、独自の道でこの世界を渡り歩いてきたこの3名の作家たちは、いずれも大地への回帰や、その内在的な環境をメタファーとして、あるいはより奥深い存在や認識の重層さを伝える存在として扱ってきました。彼らがその作品の中で描く、溶岩床、山々の境界地、洞穴に入る薄明かりは、観る者を、自らが大地の上に積み上げてきた深奥部へと再び結び付けるのです。

スケジュール

2023年1月20日(金)〜2023年3月11日(土)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2023年1月20日(金) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://www.blumandpoe.com/exhibitions/michael_ho_su_yuxin_hiroka_yamashita
会場BLUM
https://blum-gallery.com/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森 5F
アクセスJR山手線原宿駅竹下口より徒歩1分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅2番出口より徒歩2分
電話番号03-3475-1631 
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