Aquent Talent Profile (Vol.1)」

クリエイティブ人材エージェントのAQUENTが提供するインタビューシリーズの第1弾。昨年丸の内ギャラリーで個展が開催された板谷龍一郎さんです。

In Uncategorized by Kosuke Fujitaka 2007-04-25

Ryu Itadani 
City and Things

2007年2月、表参道ヒルズが1周年を迎えた時、「City and Things」という名の一連の作品が、冬の表参道をにぎわした。描き手は今もっとも注目株のアーチスト Ryu Itadani(板谷龍一郎)。都会に住む人々の心をたちまちつかんでしまうあのラインとカラーの秘密は・・・?Ryuマジックの秘密に迫ろうと、わたし達インタビュー隊は丸の内ギャラリーにRyu氏を訪ねました。

Why City and Things?

-昨年12月に丸の内ギャラリー、今年2月の表参道ヒルズ、とこのところ個展が続いていますね。どちらも大盛況で、はじめての個展だった丸の内ギャラリーの「City and Things」は会期も延長したと聞いています。手応えはいかがでしたか?

丸の内ギャラリーでの個展では、皇居に近いという立地条件なのか外国人の方が多く来てくださったり、丸の内で働く人なども数多くいらしてくださいました。
また、海外のアート関係の方が作品を買ってくれたりもしました。
表参道ヒルズは注目されている場所だけあって、若者から家族連れまでいろんな人が会場に来てくれました。おかげで卒業以来何年も会っていなかった昔の友人とも再会出来ました。

-Ryuさんは日常生活に転がっている普通のモノ達や、東京の人なら見慣れたはずの街の風景をとても魅力的に描きますね。今回の個展は2つともテーマをCity and Thingsとしていましたが、なぜCity and Thingsなんですか?

モノをスケッチするというクセは以前からありました。身の回りにあるモノを手にとって見ながら描きます。大学の授業中などは、机の上に置いてある飲みかけの缶コーヒーを描いたりなどしていました。
モノ描く基準としてはThings that I like言うテーマを持っています。好きなモノを描いているとそこから見えてくるものがあると思います。セルフポートレートというか自己紹介というか。例えば気がつくとコーラとかチーズバーガー、サイダーなんかを描いているんですが、ジャンクフードが好きな自分というものが見えてきます。
一方で昔からあって今も変わらないものにも興味があります。ぼんたんあめ、キンチョー・スプレーなどが気になり描いています。今面白いと思っているのは輸入ビールとミネラルウォーターです。洋物のボトルは様々な形がありラベルがおもしろいので見ていると楽しいです。
ものとして好き、パッケージとして好き、の2つの意味のThings that I likeです。

bontan_ame.gif

Things_That_I_Like / H:30.0 – 21.0cm W:21.0 – 30.0cm / (2000 – 2006)

Caption「おじいちゃん、おばあちゃんの時代からある、“モノ”はいいなと思います。」contrex.gif

Things_That_I_Like / H:30.0 – 21.0cm W:21.0 – 30.0cm / (2000 – 2006)

Caption「ラベルも面白いですね。」-こうして見ると、すっごい和もの、または洋もののどちらかに分かれるようですね。
Cityの方はいかがですか?

街にも昔から興味がありました。街のポートレートを描くことに興味があるというか。街にはそれぞれシンボル的なものがあり、東京タワーが東京のアイコンだったり、オーロラビジョンがあったら渋谷、とか。そのシンボルを見ることによって、どの街だかわかる。それがすごく面白いと思います。
いつもデジカメを持ち歩いていて、それで気になった風景や建物などを撮影します。作品を制作するときはまず撮影したものをプリントアウトし、それを全部並べてみて、自分の中で再編集する作業から始めます。

-例えばこの表参道の作品なんかも、アイコンが見事に再編集されている作品ですね。リアルに表参道なんだけど、実は現実にはない風景です。

omotesando.gif

Omotesando / H:43.0cm W:59.4cm / 2006)

Caption「交番のかたち、好きなんです。」to_den.gif

To_Den / H:29.51cm W:42.2cm / 2005)

Caption「2005年の雑司ヶ谷の風景です。」-このへんで少し制作方法についてもお話いただけますか?

例えば街のシリーズだとデジカメで撮った写真を目の前にだぁーっと並べ、いろいろ並べ換える作業をします。それから、白い紙に黒いペンで描いていきます。(ちなみにステッドラーの水性ペンで0.2mmの太さのものを使っています。)
描いた白黒の線画を大型スキャナーで取り込み、Photoshopで色を塗っていきます。色は自分で作ったカラーパレットから選んでいきます。線画を描くときは右端からなどと順番を決めて描いていきますが、色は好きなところから好きなように順番を決めずに自由に塗ります。あまり好きでない建物などはどうしても後回しにしてしまいます。出来上がったものはTIFFデータに保存して、自分でインクの量や色調を調整した大型プリンタで特別な紙に出力します。

-丸の内ギャラリー、表参道ヒルズの個展を終えて、新しい地平は見えて来ましたか?

やはり大きな作品を手がけるのは面白いです。制作時間はかかりますが、これからも大きな作品を描いていきたいと思います。

ものごとをラインで捉える

-今後についてお話いただけますか?City and Thingsのテーマは続けて行きますか?

これからテーマはNatureに移っていく予定です。移り変わって行くもの、花鳥風月的なテーマにとても興味があります。
それに作品については色のことをコメントされがちですが、実はラインがあっての作品なんです。
I see the things, I see the lines, then I see the colors. という順番です。
桜の花びらも素材として魅力的ですが、葉っぱも何もついていない枝ぶりにとても惹かれます。

ginkgo.gif

Ginkgo / H:42.6cm W:30.3cm / 2006

-やりたい仕事が次々実現していくRyuさんですが、次にやってみたい仕事はありますか?

スターバックスのマグカップ!商品のパッケージにも興味がありますね。それから本の装丁なども。しかし、基本的には作家としての活動をさらに追及して行きたいので、今年も個展に力を入れて制作していきたいです。作品集も作ってみたいですね。

ありがとうございました!
Ryu Itadaniの作品は一見ポップで現代的ですが、線画のしっかりした裏づけは浮世絵の伝統にも通じる、と専門家は言います。好きな言葉として「ナショナルなものが最もインターナショナルである」を挙げたRyuさん。作品の魅力は意外にもナショナル、トラディッショナルなルーツを持った新しさだったのでした。

Ryu Itadani(板谷龍一郎)プロフィールryu.jpg

1974年生まれ。大阪、トロント、東京、ロンドンで生活し、現在は東京を拠点に活躍中。
慶応義塾大学・商学部、Central St. Martins College of Art and Designグラフィックデザイン学部卒業。

香港ハーバーシティの壁画デザインや、アパレルブランドの広告、有名カルチャー誌の広告など活躍のフィールドを国内外に広げている。2007年12月には再度丸の内ギャラリーにて個展開催を予定。
http://www.ryuitadani.com/作品に関するお問い合わせは丸の内ギャラリーまでお願いいたします。
http://www.marunouchigallery.com/
info@marunouchigallery.com

Kosuke Fujitaka

Kosuke Fujitaka. 1978年大阪生まれ。東京大学経済学部卒業。2004年、Tokyo Art Beatを共同設立。08年より拠点をニューヨークに移し、NY Art Beatを設立。アートに関する執筆、コーディネート、アドバイスなども行っている。 ≫ 他の記事

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