「WITHOUT THOUGHT」展は、DMN(Diamond Design Management Network)がプロダクトデザイナーの深澤直人氏をデザインディレクターとして、1999年より毎年開催されてきたデザインプロジェクト。
普段は企業でデザインを担当するインハウスデザイナーたちが2泊3日の合宿に集い、毎年設定されるテーマに沿ったデザインのアイデアを出し、形にして展覧会を行う。
これまでのテーマは、「ごみ箱」や「コイン」、「朝食」など、いずれも私たちの生活に身近な物事。
普段は主に工業製品のデザインを行っているデザイナーたちが、何かの機能を果たすプロダクトをデザインするのではなく、人間の行為そのものをテーマに挑み、自由に発想をふくらませてみたら、どんなアイデアが出てくるのか。
今回のテーマは「wipe/拭く」。
たとえば、ポテトチップスの形をした化粧用コットン「コスメチップス」、中華饅頭のように丸められ、せいろに入った「蒸しタオル」、持ち手がマイクのような形になっている「E-YAZAWAモップ」、あらかじめ口紅のついた唇の色がプリントされた紙ナプキン、スポンジ型の消しゴム……
人間が無意識のうちに行う自然な動作の中に見出されたデザインは、考えなくても(=WITHOUT THOUGHT)「なるほど」とそのデザインが意図するところが分かり、また「その気持ち、分かる!」という発見がある。それは、誰もに身近な事柄を素材に“目から鱗”の発想の転換の機会を与えてくれ、四角い頭がまぁるくなる体験なのである。