12月13日、平成24年度文化庁メディア芸術祭実行委員会は、今年で第16回目を迎える本祭の受賞作品・受賞者を発表した。
アート部門で大賞を獲得したのは、スイスのクリエイティブユニット「Cod.Act」によるミュージックパフォーマンス「Pendulum Choir」。
9人の合唱隊が油圧ジャッキにより角度が可変する台座に立ってアカペラを歌い、変化する音に合わせてなめらかに体勢を変えてゆく。その合唱は、電子音を伴って盛り上がりを見せ、時に秘教的な儀式のように停止する。まさに、テクノロジーの複雑性と生身の身体の叙情を融合した作品だ。
エンターテインメント部門の大賞に選ばれたのは、真鍋大度・MIKIKO・中田ヤスタカ・堀井哲史・木村浩康による「Perfume “Global Site Project”」。テクノポップグループPerfumeの世界デビューを記念したプロジェクト。
アニメーション部門の大賞は、今年大規模な原画展でも話題になった大友克洋の短編アニメーション「火要鎮」。江戸時代を舞台に、大火のスペクタクルの中の男女の悲恋を、伝統的な日本画の画風をベースに3DCGと融合させた。
そしてマンガ部門の大賞は、フランスのブノワ・ペータース、フランソワ・スクイテン(訳:古永真一、原正人)による「闇の国々」。フランス・ベルギーのコミック(バンド・デシネ)の人気シリーズで、日本語版の続刊は2013年にかけて全4巻で刊行予定。第16回目のメディア芸術祭にして、マンガ部門初の大賞の海外受賞となった。
今回は全体として、海外クリエイターが大躍進。特にアート部門では大賞、優秀賞、新人賞に選ばれた8作品のうち6作品が海外勢だった。メディア芸術祭事務局によると、これまでの関連事業としての海外巡回展や一般からの情報提供などが、海外からの応募の増加の理由と考えられるそう。
本祭の受賞作品は、2月13日から24日までの12日間、国立新美術館をメイン会場に開催される「第16回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」で展示され、周辺施設を含め関連プログラムも多数予定されている。入場は無料。詳細は決定次第公式ウェブサイトで公開予定。
執筆:岡徳之(tadashiku)