公開日:2013年3月11日

US by fabric

クラブを拠点に独自のクリエイティブを追求してきたロンドン fabric による展覧会が渋谷で開催

ギャラリー中央部に静かに納められているのは、fabric のシンボルマークである布の格子を模したストーン

「世界で最も影響力のあるクラブ」
13年の歴史をもつロンドンのクラブ、fabric がそのひとつとしてそう呼ばれるのはなぜか。

それは音楽の周辺にあるクリエイティブを自らディレクションしクラブカルチャーを発信、彼ら唯一のクリエイティブコミュニティをもつからではないだろうか。fabric とは「他にはないクリエイティブを追求できる場所」とファウンダーのキース・ライリー氏は話す。それは音楽だけではなく、アートやライフシーンのそばにある場所なのだ。

ライリー氏が初のクラブとして1979年にオープンした The Cage に続いて創設した fabric は、1999年にロンドンの中心から東に向かったところにオープンした。かつて公開処刑が行われた時代もあり、歴史的な建造物としても知られる食肉大市場、スミスフィールド・マーケットがあるエリアに、このナイトクラブはある。

彼らは、良質な音楽、サウンドシステムを揃え、最高のパフォーマンスの場を音楽を愛する人たちに用意するだけにとどまらず、専属のクリエイティブチームと2000人以上にものぼるコラボレーションアーティストたちとともにクラブイベントをかざるアートワークをそこで発表してきた。本展は、これまでの数百におよぶ作品群からセレクトしたアートワーク全30点を紹介している。

fabric ファウンダーのキース・ライリー氏

クラブイベントのために毎回クリエイティブチームがフライヤーを制作。その中からセレクトしたアートワークをジャケットに定期的に MIX CD をリリースしている。本展でアルバムジャケットに用いられたアートワークが大判プリントでよみがえる。
クラブイベントのために毎回クリエイティブチームがフライヤーを制作。その中からセレクトしたアートワークをジャケットに定期的に MIX CD をリリースしている。本展でアルバムジャケットに用いられたアートワークが大判プリントでよみがえる。

fabric のレジデントDJ兼ミュージカルディレクターのクレイグ・リチャーズが来日し、オープニングの夜を盛り上げた。
fabric のレジデントDJ兼ミュージカルディレクターのクレイグ・リチャーズが来日し、オープニングの夜を盛り上げた。

fabric では毎週月火は実験的なアートワークを紹介するエキシビションを開催しているそう。
fabric では毎週月火は実験的なアートワークを紹介するエキシビションを開催しているそう。

アーティストが自由に表現を拡げていける場を13年間に渡ってつくってきた fabric。彼らは、今後日本での展開を計画しているそう。今後の動向が気になる注目のクリエイティブコミュニティだ。

DIESEL ART GALLERY 公式ウェブページ http://www.diesel.co.jp/art/index.html


Rie Yoshioka

Rie Yoshioka

富山生まれ。IAMAS(情報科学芸術大学院大学)修士課程メディア表現研究科修了。アートプロデューサーのアシスタントを経て、フリーランサー。エディター、ライターとして活動するほか、展覧会企画、アートプロジェクトのウェブ・ディレクションを務める。yoshiokarie+tab[at]gmail.com