文化庁は、芸術各分野において、優れた業績をあげた者またはその業績によってそれぞれの部門に新生面を開いた者を選奨する、「平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞」を発表し、その贈呈式を18日、如水会館にて開催した。
同賞は、演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論等、メディア芸術の11部門にて実施され、美術部門では、奈良美智氏、川俣正氏が大臣賞を、川内倫子氏が新人賞を受賞した。
奈良氏は、昨年、国内各地で開催された「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」展が、本人も初挑戦したブロンズ彫刻を含め、震災以降の作品で構成され、実績に甘んじることない氏の創作意欲と新境地を示す展覧会として高く評価され、受賞。
川俣氏は、昨年から年明けにかけて開催された「川俣正 Expand BankART」展の成果が、その展示も評価すべきところであるが、加えて氏の過去の業績を総括する記録を展示したことが意義深いとして受賞。また、世界各国で様々な人たちと共同制作する作品は、美術の枠組みを超えた社会的な部分でも意義深い活動を、ひとつの作品のみで評価することはできないと評された。
同じく美術部門の新人賞は、「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」の成果が、日本人の持つ美意識や宗教的な感情を宇宙的な広がりの中で再構築するかのようなスケールの大きな表現が展開された、と高く評価された川内倫子氏が受賞した。
また、メディア芸術部門では大臣賞にCGアーティストの河口洋一郎氏、新人賞にアニメーション映画「ももへの手紙」の監督、沖浦啓之氏が選出された。
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文化庁「平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定について」
文化庁ウェブサイト
執筆:岡徳之(Noriyuki Oka Tokyo)