公開日:2015年5月8日

TABレポ「燕子花と紅白梅 -光琳デザインの秘密- 」展

いま見ても新しい、二大国宝と光琳デザインのルーツに迫る展覧会です。

今展覧会は、56年振りに尾形光琳筆の二大国宝「燕子花図屏風」「紅白梅図屏風」が同時に見られる貴重な機会です。木版や呉服図案など、光琳に与えた影響を探る展覧会でもあります。屏風はもちろん蒔絵や陶器などジャンルを超えて制作された、光琳デザインの世界が楽しめます。

展示風景
内覧会に行ってきました!展示室に入ってすぐ、今回の主役である「燕子花図屏風」(根津美術館蔵)と「紅白梅図屏風」(MOA美術館蔵)が目に飛び込んできます。その2作品の表現に通じるその他の屏風も脇を固めており、見比べながら鑑賞できます。その美しさにため息が出るばかりで、圧倒されました。
「夏草図屏風」尾形光琳筆 根津美術館蔵
2幅を贅沢に使った、大胆な対角線構図が取られています。「紅白梅図屏風」の水流を草花に置き換えたものともいえます。右上へ向かって軽やかに飛んで行くような、草花の生命力を感じる美しい作品です!
「雁金屋衣裳図案帳(小西家文書)」 大阪市立美術館蔵
光琳は京都の高級呉服問屋・雁金屋(かりがねや)に生まれました。衣裳図案が光琳のデザイン感覚を育んだのは間違いないようです。シンプルに構成された燕子花を繰り返し配置する図案(写真右ページ)は「燕子花図屏風」に通じますね。(期間中ページ替えあり)
「流水図乱箱」尾形光琳筆 個人蔵
弟の乾山は陶芸家で、光琳は立体のための図案も多く手がけており、今展覧会にも数多く展示されています。箱の底にはゆったりとゆらめく水面を上から覗きこんだような模様が。漆黒と群青、そして金が水の掴み所のない動きを存分に表わしています。
庭園風景
お庭の階段を下った先では、毎年4月末から5月上旬にかけて燕子花が花を咲かせます。光琳の燕子花を楽しんだ後に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。5月12日(火)から5月17日(日)は19:00まで夜間開館されます。(5月11日(月)は休館)ぜひ、新しさを感じる光琳のデザインを堪能してください。

[TABインターン] 島田絢子: 愛媛県出身。日本の伝統意匠に惹かれ、日本美術を中心に芸術学を専攻し、現代アートも日々勉強中です。インターンをきっかけに、足を運ぶアートスペース拡大中。

TABインターン

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学生からキャリアのある人まで、TABの理念に触発されて多くの人達が参加しています。3名からなるチームを4ヶ月毎に結成、TABの中核といえる膨大なアート情報を相手に日々奮闘中! 業務の傍ら、「課外活動」として各々のプロジェクトにも取り組んでいます。そのほんの一部を、TABlogでも発信していきます。