公開日:2017年3月25日

第20回文化庁メディア芸術祭受賞作品が決定! 『シン・ゴジラ』、『君の名は。』も!

世界88カ国から4034作品の応募は過去最多。アート部門の大賞はラルフ・ベッカーのインスタレーション《Interface I》

今年で20回目を迎える「文化庁メディア芸術祭」、その受賞作品および功労賞受賞者が発表された。

アート部門の大賞に選ばれたのは、ドイツ出身で基礎的メカニズムやテクノロジーが社会に与える影響について研究するのブレーメン芸術大学教授のラルフ・ベッカーが手がけたインスタレーション《Interface I》。192個の直流モーターを用いて「構造と行動の関係」を探求するキネティック・インスタレーションで、世界の表象とミクロな構造の具象化を機械的なシステム構築によって結びつけた点が高く評価された。

第20回文化庁メディア芸術祭 アート部門大賞 《Interface I》 Ralf BAECKER
第20回文化庁メディア芸術祭 アート部門大賞 《Interface I》 Ralf BAECKER
© 2016 Ralf Baecker

エンターテインメント部門では、昨年公開された特撮映画シリーズ「ゴジラ」の12年ぶりとなる最新作『シン・ゴジラ』が大賞を受賞。子どもやファミリー向けの作風であった従来の『ゴジラ』に対して、現代の日本にゴジラが現れたとき、人びとはどう立ち向かうのかという災害シミュレーションをドキュメンタリータッチで描く異色のアプローチが受賞へと導いた。

第20回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門大賞 『シン・ゴジラ』 庵野秀明/樋口真嗣
第20回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門大賞 『シン・ゴジラ』 庵野秀明/樋口真嗣
© 2016 TOHO CO.,LTD.

アニメーション部門の大賞には、同じく昨年公開され大ヒットとなった映画『君の名は。』が選出。時間の流れの一方向性や3次元空間の距離を容易く飛び越えられるアニメーションの特性を見事に生かし、さらには現代人の願望の現れとも捉えられる心の出会いを、メディアを媒介することの繰り返しで成し遂げる様子を描いた。ファンタジックな物語を強いリアリティとともに表現し評価された。

第20回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門大賞 『君の名は。』 新海誠

マンガ部門で大賞を受賞したのは、石塚真一による、ジャズに魅せられた少年がジャズプレイヤーを目指す青春ジャズ成長譚『BLUE GIANT』。音が出ないというマンガの性質を逆手にとった即興演奏の描写、爆発した情熱が音楽として輝く奇跡のような瞬間、メンバー同士の丁々発止のやりとり、そしてその現場に立ち会った聴衆との交感など、外連味のない魅力でジャズを知る人も知らない人も惹きつけ、大賞に輝いた。

第20回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門大賞 『BLUE GIANT』 石塚真一
第20回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門大賞 『BLUE GIANT』 石塚真一
© ISHIZUKA Shinichi / SHOGAKUKAN

今回は、過去最多となる世界88の国と地域から4034作品が寄せられた。
贈呈式、受賞作品などを紹介する受賞作品展は、2017年9月に、東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センターと東京オペラシティアートギャラリーを中心に開催される。

文化庁メディア芸術祭ウェブサイト
http://festival.j-mediaarts.jp/

執筆:中井千尋 編集:岡徳之(Livit)

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