公開日:2020年1月1日

2020年注目の展覧会をピックアップ(建築・デザイン編)

2020年に開催が予定されている展覧会の中から、建築・デザインをテーマに展覧会をピックアップ!

多種多様な展覧会の中でも広く人気を誇るのが、デザインや建築にフォーカスした企画。そこで、2020年に東京近郊で開催が予定されている展覧会の中から、建築・デザインに関する展覧会をピックアップして紹介する。

万平ホテル(企画展「クラシックホテル展 -開かれ進化する伝統とその先-」より)

◎「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展パナソニック汐留美術館、1月11日〜3月22日)
まず紹介するのは、1月11日にパナソニック汐留美術館で開幕する「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展。ブルーノ・タウト、井上房一郎、アントニン&ノエミ・レーモンド夫妻、インテリア・デザイナー剣持勇、家具デザイナーのジョージ・ナカシマ(1905-90)、そして彫刻家のイサム・ノグチ(1904-1988)。彼らが戦前の1930年代から戦後の1960年代に生み出した、工芸品、家具、建築の図面、模型、写真など多彩な作品資料約160点を展示する。会期中には建築史家の倉方俊輔、グラフィックデザイナーの原研哉を招いたトークも開催されるためこちらもチェックを。

◎「クラシックホテル展ー開かれ進化する伝統とその先ー」建築倉庫ミュージアム、2月8日〜5月31日)
2016年、「展示×保存」という試みのもと、建築模型保管庫そのものを展示するミュージアムとして開館したのが東京・天王洲にある建築倉庫ミュージアム。同所で2月8日にスタートするのが、日本のホテルの原点とでもいうべき富士屋ホテル、万平ホテルなどの12のクラシックホテルを中心に、その変遷をめぐる展覧会だ。本展は建築図面や写真、映像・言葉・グラフィックなど様々な角度からクラシックホテルの魅力を体感できる。

◎高山明/Port B「模型都市東京」展建築倉庫ミュージアム、2月8日〜5月31日)
クラシックホテル展と同時開催となるのが、高山明/Port Bの展覧会。高山明は1969年生まれ、演劇ユニットPortB(ポルト・ビー)主宰。既存の演劇の枠組を超え、実際の都市を使ったインスタレーション、ツアー・パフォーマンス、社会実験プロジェクトなど、現実の都市や社会に介入する活動を世界各地で展開してきた。これまでに高山は、24時間営業の個室ビデオ店を模した空間が起点の作品《個室都市 東京》をはじめ、東京をテーマとした様々な作品を発表しているが、本展ではどのような空間と「東京」を見せるのか? 期待が高まる。

◎「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」(六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー・スカイギャラリー、4月8日~6月14日)
トーマス・へザウィック率いるヘザウィック・スタジオは、ロンドンを拠点に世界各地で革新的なプロジェクトを手がける、1994年創設のデザイン集団。ものや場所の歴史を理解し、多様な素材を研究し、伝統的なものづくりの技術に敬意を表しながら、最新のエンジニアリングを駆使してきた。本展では、同スタジオの主要プロジェクトを、「ひとつになる」「みんなとつながる」「彫刻を体感する」など6つの観点から掘り下げるという主旨のもとで展開される。

「ファッション イン ジャパン1945-2020―流行と社会」ウェブサイトより)

◎「ファッション イン ジャパン1945-2020―流行と社会」国立新美術館、6月3日~8月24日)
「日本のファッション」と聞いたとき、何を思い浮かべるだろうか? 本展は、明治期以降の社会状況や流行といった現象を発端に、戦後から現在に至るまでの日本のファッションを包括的に紹介するというもの。また、衣服だけでなく、写真、雑誌、映像といった豊富な資料を通して、流行の発信者と衣服をまとう私たち、そしてその両者をつなぐメディア、それぞれの軸から各時代のファッションを社会現象とともに紐解く。

◎「隈研吾展(仮称)」東京国立近代美術館、7月17日〜10月25日)
東京オリンピック・パラリンピック期間中の東京国立近代美術館で行われるのは、《国立競技場》の設計に参画した建築家、隈研吾の大規模な個展。本展は、模型や写真、国内外のアーティストが参加した、先端的な技術を用いた複数の映像によって隈の建築の特徴を体感できるというもの。東京の未来像を提案する一室が設けられるということで、こちらにも注目したい。

◎「開校100年 きたれ、バウハウス ― 造形教育の基礎 ―」東京ステーションギャラリー、7月17日~9月6日)
1919年に創立したドイツの造形芸術学校「バウハウス」。2019年より全国を巡回してきた100周年記念展が、東京ステーションギャラリーで締めくくられる。バウハウスの教育、とりわけ学生が入学して最初に受けたユニークな基礎教育に焦点を当てる本展。20世紀の芸術の歴史に燦然と輝くバウハウスで伝説的な教師たちが試みた授業の内容とは? 4人の日本人留学生の貴重な資料も紹介される。

◎佐藤可士和展国立新美術館、9月16日〜2021年12月14日)
「さまざまな美術表現を紹介し、新たな視点を提起する美術館」を活動方針に掲げ、デザインや建築の展覧会を定期的に開催してきた国立新美術館。この理念を体現する企画として開催されるのが、国内外から注目を集めるクリエイティブディレクター、佐藤可士和の展覧会だ。1990年代、博報堂でアートディレクターとして斬新な広告プロジェクトを次々と手がけた佐藤は、2000年の独立以降、企業をはじめ、幼稚園や大学などの教育機関、病院、ミュージアムなど多種多様なクライアントを対象として、革新的なVI・CI計画やブランド戦略を手がけてきた。過去最大規模の個展となる本展では、佐藤自身がキュレーションする会場構成のなかで、約30年にわたる佐藤の活動の軌跡を多角的に紹介する。

これらの展覧会の他にも、現在開催中の展覧会として、「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」(東京国立近代美術館、〜2月1日)、「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」(東京都現代美術館、〜2月16日)、「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」(21_21 DESIGN SIGHT、〜3月8日)などがある。これから年間プログラムを発表する美術館やギャラリーも多数あるため、それらも楽しみに待ちたい。

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