草間彌生の初公開作品のみで構成:「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」展をレポート

草間彌生美術館で「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」展がスタート

poster for The Vision of Fantasy That We Have Never Seen is This Splendor

「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」

市ヶ谷、神楽坂エリアにある
草間彌生美術館にて
231日後終了

In フォトレポート by Art Beat News 2020-07-30

出品作のすべてが日本初公開あるいは世界初公開作品。草間彌生の現在形を紹介する展覧会「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」展が、草間彌生美術館にてスタートする。会期は7月30日〜2021日3月29日、チケットは日時指定の予約・定員制。

幼少期に見た幻覚を描きとめ、その恐怖を克服することから創作活動をスタートさせた草間彌生は、今日に至るまで幻覚や内面世界のビジョンを作品化し続けてきた。

草間が見る多様なビジョンをテーマに、過去10年間に制作した日本初公開および世界初公開作品の近作・新作の22点で構成される本展「我々の見たこともない幻想の幻とはこの素晴らしさである」の一部内容をレポートでお伝えする。

世界的な人気を誇る草間の作品シリーズといえば、四方を鏡で囲まれ、オブジェや体験者までもが無限に反復していく没入型インスタレーション作品の「ミラールーム」。本展では、今回のために制作した新作のミラールーム《無限の鏡の間 – 宇宙の彼方から呼びかけてくる人類の幸福への願い》(2020)が発表されている。

赤、青、黄、緑の4色のLEDライトが部屋の中で明滅し、忘我の感覚を呼び起こす本作は、SNSなどの画像からは得ることのできない体験を与えてくれる。

同じく、観客が能動的に関わっていくタイプの作品として、参加型の最新プロジェクト《フラワー・オブセッション》(2017/2020)も日本初公開中だ。本プロジェクトはテーブルクロスの花模様が部屋中に繁殖する幻覚のビジョンを作品化したもので、鑑賞者は花柄のステッカーや造花を自由に空間に貼り付けることができる。リビングルームを模した部屋が花で埋め尽くされることで、自他の境界が消滅し、自己が消滅するような感覚(自己消滅)を体験する試みだ。

前述のミラールーム《無限の鏡の間 – 宇宙の彼方から呼びかけてくる人類の幸福への願い》(2020)からもわかるように、草間の最新作の多くには、宇宙への憧れを語った詩的なタイトルが与えられている。2009年から草間が精力的に取り組む大型の絵画シリーズ「わが永遠の魂」の最新作もそのひとつで、《数ある希望を撒き散らしてきた宇宙への憧れ》《名の知れない黒い影が宇宙を飛び歩いているのをあなたは見たことがあるのか》などのタイトル、そして連続する網目模様、アメーバ状のなにか、さざ波や人間の横顔などのモチーフに、宇宙や未知の世界に対する作家の強い関心が重なって見える。

連続する横顔のモチーフは、美術館エントランスに展示された《永遠に続く女の魂》(2019/2020)にも登場。アルミニウム鋳造で形づくられたこの作品は本展のための新作で、神秘的でありながらも浮遊感とユーモアが共存する造形が鮮烈な印象を放っている。

創作意欲は衰えを知らず、91歳を迎えた現在もほとんどの時間を創作に費やしているという草間。その境地の一端と、タイトルが示す未知なる幻想の幻の素晴らしさを体験したいならば本展を訪れることをおすすめしたい。

Art Beat News

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