「表現の自由」に認識の差:文化芸術への公的支援はどうあるべき?レポートの全体版を公開

一般社団法人芸術と創造が実施した、文化芸術への公的支援に係る世論調査レポートの全体版が公開された

In Art Beat News Main Article 3 by Art Beat News 2020-07-07

文化政策、アートビジネスに関するコンサルティングを専門に行う一般社団法人芸術と創造(代表:綿江彰禅)が行った、日本人1万人を対象とした新型コロナに関する公的支援、あいちトリエンナーレ問題等に関する世論調査「文化芸術への公的支援に係る世論調査レポート〜新型コロナウイルスの感染拡大、あいちトリエンナーレ等の視点から〜」。そのレポートの全体版が7月7日に公開された。

芸術文化がテーマの世論調査としては前例のない規模となるこの調査のメイントピックは「文化芸術に係る公的支援について」「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う公的支援について」「行政による文化芸術に係る助成・補助や主催事業における関与について」の3つ。

その結果は、TABでは「1万人が回答:文化芸術への公的支援はどうあるべき?レポート調査が発表へ」の記事で紹介しているが、今回のレポートはその内容に、調査にあたっての問題意識、属性別の傾向、そしてとくに注目したい、考察にあたる「結果を受けて」などを付け足した完全版となる。

「結果を受けて」の中では、芸術の重要性は既に多くの人々に認識されているが、 必ずしも国・自治体の予算を文化芸術に優先的に振り分けるべきとは考えられていない。文化芸術が重要だと考えることと公的予算をつけるべきと考えることはイコールではないことに留意が必要。


そして、広く国民の理解を得るためには、文化芸術そのものの魅力よりも、むしろ社会的な意義について周知が必要であり、「医療・福祉・介護」「防災・減災」「子育て」「教育」などには優先的に公的支援を行うべきと考えられいるが、むしろこれらは「文化芸術」が密接に関わる可能性がある分野でもあり、「文化芸術」にとってチャンスだと記されている。

では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う文化芸術支援はどうか。それには半数が賛成だと考え、そのうちの約3割(全体の16%)は「通常は文化芸術に予算を振り分けるべきではない」と考えていた人々だった。新型コロナウイルスに関しては、マスメディア等を通じて公演中止等が大々的に報じられたことが、理解促進に貢献したと推測される。これらを踏まえると状況や積極的な発信により世論はかなり変化するとも考えられ、そのためにも関係者は世論の把握と、それに基づいた議論が必要だと強調されている。

美術関係者が担保されるべきと考える「表現の自由」や「アームズ・レングスの原則」(政府はお金を出しても口は出さないという原則)と、一般の人々が考えるそれらへの認識には乖離がある。もしくは、一部の人々はそれらを十分に理解はしているが、それ以外の事由 (精神的・身体的な安全性の確保、公的資金の用途としての正当性に係る価値判断等)のほうが場合によってはより重要であると判断しているとも推測され、このような実態を踏まえたうえで、多くの人々の理解・共感を呼ぶ形で、これらの「原理・原則」の理解促進・周知が必要だと締めくくられている。

一般社団法人芸術と創造代表理事の綿江彰禅は今回の調査結果が「文化芸術の発展に向け “地に足のついた” 議論の一助となれば幸いです」と述べる。レポート全文はPDFで公開中だ。

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