現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT」がオープン

12月12日、寺田倉庫が現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT(ワット)」をオープン

In Art Beat News Main Article 2 by Art Beat News 2020-12-11

日本最大のギャラリーコンプレックス「TERRADA ART COMPLEX」や、画材ラボ「PIGMENT TOKYO」などのアートに関する施設が立ち並ぶ東京・天王洲。ここで、寺田倉庫が現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT(ワット)」を新たに開館した。正式オープン日は2020年12月12日。

「WHAT」は寺田倉庫がコレクターから預かり、保管する貴重なアート資産の公開を目的とした新しい芸術文化発信施設で、倉庫に眠る作品を開放し、日本を代表するコレクターが自らの価値基準で収集した作品との出会いをつくり出すというもの。「WHAT(WAREHOUSE OF ART)」という施設名称には、「倉庫を開放、普段見られないアートを覗き見する」 というユニークなコンセプトが込められている。

記念すべきオープニング展は、高橋龍太郎、A氏という2名のコレクターの所蔵作品にフォーカスした「-Inside the Collector’s Vault, vol.1-解き放たれたコレクション」。2名がそれぞれの視点、価値観をもって収集した、新作、未公開作品を含む約70点にわたるコレクションに焦点を当て、現代アートの魅力に迫るというものだ。会期中、展示入替えを1回行い、計70点の作品展示を予定している。

まず、高橋龍太郎コレクションは「描き初め(かきぞめ)」をテーマに18名約30点の作品を紹介。「高橋コレクション」と言えばその豪華な顔ぶれとともに全国美術館を巡回するほど著名作品も多いが、本展には今まで展示されなかった若手作家の作品も多く、新鮮なラインナップとなっている。ステートメントの中で高橋は、アンナ・ゼーガースの物語『死者はいつまでも若い』を引き合いに出し、コレクションも絶えず埋め合わされていけば「その若さを保ち続ける」と書いている。すでに評価の定まった作品ばかりではなく「コレクターの生きる証」として柔軟に作品を購入していく姿勢を、ここでは見ることができる。

また、そうした気鋭作家の作品に加え、高橋が絶大な信頼を置く岡﨑乾二郎の大作や、会田誠による、お弁当容器をキャンバスとしたユニークな作品「ランチボックス・ペインティング」も並ぶ。そのほかの出品作品は、今津景、梅沢和木、大山エンリコイサム、川内理香子、草間彌生、合田佐和子、近藤亜樹、鈴木ヒラク、佃弘樹、土取郁香、DIEGO、野澤聖、BIEN、水戸部七絵、村山悟郎、毛利悠子。

いっぽう、A氏のコレクションはすべて奈良美智の作品で構成される。「奈良美智の作品と出会い、購入し、身の回りに置くことによって、人生が変わった」「命を削って描いていると感じるパワーがあり、近くにあることでパワーをもらえる」と話すA氏。2001年に奈良の個展でのサイン会に遭遇したことをきっかけに、様々な偶然が重なり、それまで無縁だったコレクターとしての人生がスタート。

本展では、奈良の初期作にあたる1987年から2004年までに制作された作品40点を展示。キャンバスではなく自動車の「MINI ONE」を支持体とした《Rock and Roll(アートカー)》(2004)など、珍しい作品にも注目だ。

コレクション展と同時開催されるのは、建築倉庫プロジェクト「謳う建築」。文芸家と建築家という異色のコラボレーションが実現する本展は、建築家が生み出した住宅に宿る空気感や五感を揺さぶる空間について、文芸家が謳い浮かび上がらせるというもの。企画のインスピレーションとなったのは、詩人・建築家の立原道形の「住宅する精神は、ボールの表面を包み、エッセイする精神は、中空のボールの内部の凹状空間の表面を包まうとする」という言葉(『住宅・エッセイ』(1936)より)。

篠原一男/谷川俊太郎、吉村順三/蜂飼耳、東孝光/暁方ミセイなど14組による言葉とスケッチ、模型が呼応する様子は会場で確かめてほしい。

新ミュージアムといえば気になるのがカフェなどの周辺施設。ミュージアムから徒歩3分ほどの場所にある、10月にオープンした「WHAT CAFE」は、若手アーティスト支援を目的としたアートカフェ。800平米におよぶギャラリーとカフェが融合する空間には、若手アーティストの作品が常時十数点展示され、鑑賞だけでなく購入も可能だ(価格帯は5万円〜20万円が中心)。会期ごとにすべての作品が入れ替えられるため、いつでも新鮮な出会いが期待できる。

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