unseal contemporaryポップな絵画に目が慣れているせいか、片岡の作品を見た際に昭和初期を彷彿とさせるイメージ、ノスタルジーを感じた。昭和初期の日本人の美意識を構成的に映像化した映画監督に小津安二郎がいるが、色使いと儚げな空間分割が、小津映画にオーバーラップする。京都の染色家の家系に育ったという片岡は、幼少の頃から、自然と日本の美に触れて来たのだろう。現在、若い世代が、アニメやマンガ風の作品を生み出している。彼と同じ、日本画を専攻した作家達が、伝統的な様式にポップな要素を導入して、新たな感覚を作り出そうとしている。それに比べ、置き忘れられて来たような日本の美意識を持つ空間を追求したいという彼の作品は、一見、地味で、派手さに欠けるように見える。ぱっと見のおもしろさよりも、時間を経て、風化してもなお残る感覚、価値に重きを置き、絵画として定着させたいという、したたかな目論見を片岡の作品に感じる。作者の造形思考の過程は、風景や地図を次第に抽象化したいったモンドリアンに近いものかもしれない。風景を分析していった結果、ほとんど、縦横の色面分割に還元されている。だが、片岡には、やはり、日本的な湿り気を感じる。西欧にはない、いわゆる「間の感覚」も感じとることが出来る。回りの雑念、情報に振り回されることなく、日本の美意識を絵画で表現していこうとする独自な存在として、今後も見守っていきたい作家の1人である。
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