太田記念美術館このたび、当館では初めて「冨嶽三十六景」46点全点を展示いたします。
葛飾北斎(1760-1849)といえば、富士を想い起こすほど、「冨嶽三十六景」は有名なシリーズであり、世界的に高い評価を得てきました。天保二年(1831)頃に出版された本シリーズは、北斎の60歳代末から70歳前半にかけての作品になりますが、老境に入っても鋭い造形感覚と描写力は衰えるどころか、より一層の冴えを見せています。また、一つの対象を様々な視点から徹底的に捉えようとする描写姿勢は、このシリーズを風景画の枠を超越させ、さらなる芸術性の高みへと昇華させています。
このように北斎の魅力が集約されている同シリーズは、全揃いを所蔵する美術館自体稀少ですが、当館が所蔵するものはその中でもたいへん保存状態がよく、とくに「凱風快晴」「御厩川岸より両国橋夕陽見」は現存作例の中でも優品といえるでしょう。なお、本展では「冨嶽三十六景」46図とともに、変わり摺り(色調の異なる摺り)、校合摺(色版を作るときに版下とする墨摺の刷本)といった珍しい摺りものも展示いたします。また、そのほか、「諸国瀧廻り」「諸国名橋奇覧」など、「冨嶽三十六景」と同時期に刊行された名品を併せて展観し、北斎の創作活動を多角的にご覧いただけます。
「冨嶽三十六景」全揃いを中心に、約100点の出品作で構成する北斎芸術の集大成を、この機会にぜひご堪能ください。
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