unseal contemporary誰でも幼いときに、自分や世界が存在することの不思議さに打たれる瞬間を体験することがありますが、成長するにつれ、忘れていくものです。しかし、中にはそのときの驚きの思いを忘却できず、そのまま抱えて生きていく人たちがいます。その場合、成長するにつれ、存在することの残酷さにも、人一倍敏感にならざるをえないでしょう。馬渡はそんな一人であるように見えます。残酷さとは、人間もひとつの生物に違いないというところから生まれててくるものであり、どれだけ私たちが文明の衣装をまとっているとしても、あるいはまとわざるをえないとして、その割れ目から滲み出してくるものです。存在することの不思議を抱えたままの人間がその割れ目を見たときに、どんな光景が見えるのでしょうか。馬渡の作品は、その驚きをとどめようとする試みです。彼女の作品に登場する人間であれ、動物であれ、それぞれOh!の声を無言のうちにあげているようです。が、作品には、そんな生の残酷さをシニカルにではなく、むしろユーモアをもって見つめようとする作家の姿勢を感じます。馬渡は、好きな作家としてフランシス・ベーコンをあげていますが、ベーコンの作品が、生の残酷さ、酷薄さと同時に、そのエネルギーを肯定する面を持つのと同様に、彼女の作品も、残酷な生をユーモアをもって引き受けていこうとする姿勢があります。今回の展覧会は平面作品、10数点で構成されます。決して第一印象だけで終わらないであろう彼女の作品をゆっくりご覧いただければと思います。
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