フェミニズムという言葉とリンクさせやすい本展のテーマですが、現在ニューヨークで注目されている3人の女性アーティスト3人が捉えようとしているものは、女性の権利、同性愛、妊娠中絶、ドメスティックバイオレンスといった文化的な性差別や懐古的な女性概念による束縛からの開放ではありません。3人の作品は、女性という生き物としての無我の自由と未来を想像させると同時に、理由の見えない破滅の空気感をも内包しています。独自の表現方法を追求する3人は、異教徒の妖精とも考えられます。作品を通じ、それぞれの妖精達がそれぞれの儀式の中で「女性」というものを生み出そうとしています。それは単に彼女達のおとぎ話かもしれません。しかし、人々は遥か昔からおとぎ話を創り続けてきました。それはほとんどの人がおとぎ話を必要としているということに他なりませんが、おそらく、おとぎ話が自由と未来とで創られているものだから語り続けられてきたのでしょう。
キュレイション: hpgrp GALLERY NEW YORK ディレクター 山谷周平