高木サダ子「匂い立つ大地ー木村伊兵衛の秋田・追想ー」

ニコンプラザ東京

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アーティスト

高木サダ子

作者は秋田を旅して何度目かの夏、五十数年前に木村伊兵衛が撮影した「姑」に写っている井上セイさん宅を訪ねると、セイさんは昼寝をしていた。「姑」はセイさんの実家を撮影したもので、祖母、母、甥っ子とセイさんが右端に写っている。木村伊兵衛という写真家は都会から聖なる光を放って、人が人らしく生きることを求めていた時代に、秋田に現れた。

作者は秋田民俗の写真集と同じ所を歩いてみた。そのときに写された人々に出会うこともできたが、あの賑わった農民たちは、今はいない。急激な社会変革で兼業農家になっていったからだ。
セイさんには一つの時代を生き抜いた女性としての誇りがいつも満ちていた。油蝉が啼いているなか、セイさんはまだ眠り続けている。作者には、どこかに村と村をつなぐ道があり、いろいろなものが入り混じった、むせかえるような匂いと農民の笑い声が聞こえてくるような気がした。
モノクロ約40点。

スケジュール

2007年3月20日(火)〜2007年3月26日(月)