gallery.sora.石塚はデジタルカメラによって撮影した圧倒的な量から構成される写真群で、2001年に鮮烈なデビューを飾りました。19歳で初めて海外を旅してから、石塚がこれまでに訪れた国はおよそ60カ国、さらに地球を西周り・東周りを交互に繰り返した世界一周の旅を4周経験しています。『worldwidewarp』と『WWWWW』という2冊の写真集では様々な国を訪れ地球をそれぞれ2周する一方で、北極圏を彷徨い3年間撮り続けたアラスカは特別な場所であったに違いありません。---「地球をたった4周したにすぎない」という本人の言葉に表れているように --- 石塚にとって旅の写真は単なるランドスケープやポートレイト、ドキュメンタリーといった枠を越えた未知の可能性を秘めていると言えるでしょう。
無人の荒野をどこまでも果てしなく延びるパイプライン。アラスカを南北に縦断する世界で2番目に長い人工建造物だ。凍てついた大地を這うように、美しい地平線に突き進むかのように走るその線は、人工と自然の対比というより、地球の巨大な力を指し示すサインのようにも、人間の滑稽さや悲哀を表す象徴のようにも思える。めまぐるしい移動を繰り返しながら自己・他者・場所についてのアクチュアルで軽やかな思考の痕跡を発表してきた石塚はただひたすらにこの白い道標に導かれ、写真を撮り、長い旅を続けた。その果てに生まれたイメージの連なりは、移動することで浮上する世界を覆う薄膜上の亀裂のようにも見えてくる。このパイプラインは、旅により自己を深く揺るがし逆転させてゆく高速の旅の知覚の化身なのかもしれない。
(美術史家 伊藤俊治)※「SPIRAL PAPER」115号より引用
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