山梨県立美術館独自の水墨画を確立した川﨑小虎(1886-1977)は土佐派の流れをくむ祖父の川崎千虎に師事したのち、東京美術学校(現、東京藝術大学)日本画科で絵を学びました。大正期には伝統的な大和絵に現代的テーマを取り入れ、清新で浪漫的な作品を発表し、また、油絵や演劇にも強い関心を示して様々な試みを行いました。戦中から戦後にかけては山梨県落合村(現、南アルプス市)に疎開し、身近な風景や草花、果物、動物などを繰り返し描きました。その後、日展を主な舞台として静謐で詩情に満ちた作品を数多く発表しました。
東山魁夷(1908-1999)も東京美術学校日本画科に入学しますが、小虎が同校の講師となったときはベルリンに留学していました。帰国後は、小虎が中心となっていた日本画院展や大日美術院展に出品し、やがて小虎の長女すみと結婚し、復員してからは山梨に疎開していた小虎の家で数ヶ月を過ごしています。戦中、熊本の部隊に派遣されていたときに阿蘇連山の自然に感動して風景画家となることを決心します。それ以降は日本各地や北欧、ドイツ、オーストリアの風景、さらには新宮殿壁画や唐招提寺御影堂障壁画などを精力的に発表し、正に国民画家と呼ばれるようになりました。
魁夷は岳父小虎から絵画技法や様式を学んだわけではありませんが、画家として、さらに人間として尊敬し、小虎もまた魁夷の人間性を信頼していました。二人は共に90歳の長寿を全うし、最後まで旺盛な制作を続けました。本展では、小虎と魁夷の作品を中心に、小虎の祖父千虎、子の鈴彦、春彦、春彦の子麻児の作品も含め、総点数約70点の日本画を紹介します。
講演会
「小虎と魁夷の思い出」
日時 5月4日(金・祝)午後2:30から
講師 川﨑鈴彦氏(日本画家・小虎長男)
会場 総合実習室
(申し込み不要、聴講無料)
「川﨑小虎の画業」
日時 5月13日(日)午後2:30から
講師 田中晴久(当館学芸第一課長)
会場 総合実習室
(申し込み不要、聴講無料)
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