横浜美術館アーティスト
リッキー・スワロー、Dr. ラクラ、束芋、イングリッド・ムワンギ・ロバート・ヒュッター、ピューぴる、吉永マサユキ
そもそもゴスという名称は、12世紀〜16世紀にかけてヨーロッパで拡がりを見せた芸術様式の「ゴシック」に由来する。ただし現代のゴス・カルチャーは、中世のゴシック文化から直接影響を受けたものではないどころか、ほとんど無関係といっても過言ではない。むしろ、中世ゴシックのリバイバルとして展開した19世紀イギリスの中世懐古趣味から生まれた幻想的文学を直接のルーツに持つものである。そこから転じて、現在では、幻想的・怪奇的なもの、死や夜、病的なもの、狂気、トランスジェンダー、装飾過剰なイメージなど、健康的で保守的な価値観とは対立するような趣味一般を指すものとして捉えられていると言えよう。
こうしたポップ・カルチャー全般におけるゴスの隆盛は、いわゆるファイン・アートの領域からは一線を画して展開しているものである。しかしながら、ともすれば悪趣味といえる過剰さ、異形の生物や変容する身体の表現、 皮膚、体液など局所的な肉体の要素を通して自己のアイデンティティーを見つめ直そうとする表現など、現代の作家たちが取り入れているいくつかのモチーフや表現の中には、「ゴス/ゴシック」に通じる要素が存在する。これらは、単なる退廃趣味といった表現のスタイルとしてあるのではない。むしろ、それらゴス/ゴシック的な表象の中に、世の中の保守的な趨勢から逸脱していこうとする者たちにとってのリアリティを認め、その攻撃的に見える表現とは裏腹のイノセントさ、儚さが隠されているといえよう。
翻ってみれば、ポップ・カルチャーにおけるゴス/ゴシックもまた、今や単純なスタイルを超えて、ある種の生き方を示す用語としても機能している。タトゥー、ピアッシングなどの身体改造、死や病に向けられる視線は、単なる趣味ではなく、保守的な世界に立ち向かおうとする自己表現のありようそのものなのである。
本展では、世界的な活動を展開する6組のアーティストによる立体、絵画、映像、写真作品、約200点を通じて、現代美術におけるゴス/ゴシックを紹介する。現代美術の領域で高い評価を受けている彼らの作品は、若い世代を中心に世界的な共感を呼ぶゴス/ゴシックの本質について、あらためて考えるきっかけを与えてくれるに違いない。
アーティスト・トーク1
2007年12月23日(日)14:00〜17:00(開場13:30)
アーティスト:イングリッド・ムワンギ・ロバート・ヒュッター/ Dr. ラクラ/ リッキー・スワロー
会場:横浜美術館円形フォーラムおよび展示室 (逐次通訳付・聴講無料)
※当日有効な企画展チケットが必要です。
アーティスト・トーク2
2008年2月11日(月・祝)14:00〜16:30(開場13:30)
アーティスト:束芋/ 吉永マサユキ
会場:横浜美術館円形フォーラム(聴講無料)
パフォーマンス:ピュ〜ぴる「Secret no,4 - SRS -」
2008年3月22日(土)15:00〜
会場:横浜美術館グランドギャラリー
※会場は変更される場合があります。
その他レクチャー等詳細に付きましては美術館HPをご覧下さい。
[画像: リッキー・スワロー「Younger than Yesterday」(2006) リンデン、ティキ・アテンシオ・デミルジャン氏蔵]
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