hpgrp GALLERY NEW YORK ディレクター山谷 周平が最初に北出健二郎という存在にふれたのは2000年の夏だった。このアーティストの人のような動物のようなわけのわからない初期の作品「喜怒哀楽」(2000年制作)は、一つ目に留まった。一頭身の中で怒った顔と笑った顔が背中合わせで構成され、それぞれの目鼻立ちは微妙に人間のものとはずれ、アフロヘアーを合わせることにより抜群のオリジナリティーを感じさせた。作品にとってもっとも重要である「言葉」の存在は確実に感じた。近年の作品を見てもわかるよう、早い段階でコンセプトの表し方のポイントを陶芸的な表現方法から造形的なものへと移行させたため、本来日本文化や生活の中に浸透する、土の種類や焼き加減や色の出し方等といった日本的な陶芸概念は表面に打ち出していないが、逆に粘土そのものが持つ手触り、神秘性、安らぎ、美しさ、恐さ、貪欲さ、哀れみを充分に使いこなし、作品に宿る「言葉」を伝えやすくしているところが北出アートの特徴とも言える。日本をこよなく愛し、伝えたいことが素直に表現できる、そして自ら爆発させながら存在を見つけて行く北出健二郎の戦いをご覧下さい。