タマダプロジェクト ミュージアムある一部の絵画だけが持つ圧倒的な存在感から、小村作品をその系譜の最前線へと位置づけることは、意外と易しいのかもしれません。暴力的なまでのマチェール、見る者の抑圧された欲望が蠢いているかのような絵の具の塊、そして、描かれた対象を別次元へと昇華させた上で迫りくる生々しさ。これらは、西洋絵画と比較された時にどうしても見劣りのしてしまう日本の絵画に欠落していた、いくつかの要素であり、小村作品は、それらを見事に解消してしまっているという感覚からくる達成感や安堵感からなのでしょう。
しかし、ここで留意したいのは、小村希史の登場により、大竹伸朗、横尾忠則へとかえっていく新たな系譜なのです。この三人に共通するのは、大衆の無意識や欲望といったものに、あまりにも敏感で正直であるため、日本美術界にどうもしっくりこないでいる、その立ち位置です。今回、小村は、かつて大衆文化の最もポピュラーなものであったLPレコードを制作し、発表します。これは、彼が高校生の頃に創っていた音源のセレクト、ポスター、ポストカード、リーフレットで構成され、上記した系譜を想起させるとともに、小村作品の源泉へと誘う構成となっています。さらに、本邦初公開のドローイング作品群(別枠で展覧会予定)も発表します。その上、先着100名様に、新たな音源を収録したナンバリング入り、オリジナルカセットテープを差し上げる大盤振る舞いです。
本展は、この新たな才能の出現を多角的に楽しんでいただき、見るという行為が神秘的な経験だということを、あらためて認識していただくものです。
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