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飯川雄大 「クッドシチュエーション」
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飯川雄大 「クッドシチュエーション」
児玉画廊|白金
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アーティスト
飯川雄大
飯川は「時間」をテーマに独自の感覚をもって向き合い、映像作品による表現活動を続けています。近年では時間を様々な角度から捉える試みとして「時の演習用時計」や「時間泥棒 -Half Time project- 」といった作品を断続的に製作しています。 昨年、児玉画廊(大阪)での個展で発表した「時の演習用時計」は撮りためた約500シーンもの映像を24時間分に編集したものを一日中流し続けるという作品です。24時間=1日という大きな時間を示す時計として、何時何分という具体的な時刻を告げることはないものの、毎日同じ様に淡々と流れる映像の各シーンがいつの間にか日常に馴染んで、生活のリズムとリンクしていくような、新しい時間感覚を与えます。
「時の演習用時計」が時間との関わり方を考察する為の手段だとすれば、今回の展覧会の中心ともなる「時間泥棒 -Half Time project- 」は、人の持つ時間感覚についての認識を改める為の試みだと言えます。このプロジェクトではあるスポーツの、ある特定の人物から練習時間や試合時間の半分を盗んでしまいます。例えばサッカーの場合、事前にその人物以外の関係者全員に、通常の半分で試合時間が終了するが、あたかも普通に試合を終えたかの様に振る舞うよう依頼しておき、たった一人事実を知らないその人物がどのような反応を示すかを映像に記録します。最高のパフォーマンスを発揮する為に選手が日々の練習の中で習慣的に体で覚えているであろう時間感覚に着目し、それをこっそりと奪う事によって、時間というものが時計で計るものとしてではない側面を露にするその瞬間を追います。ドッキリ映像然とした軽妙さこそあるもののそこに笑いを誘う要素はなく、本質は時間を掠め取る事、また、その特殊な状況を撮ることで目には見えない時間の正体を暴こうとする飯川の真摯な眼差しが向けられているのみです。
「修学旅行で就寝時間が過ぎた一時間後、部屋の明かりをつけ起床時間だと告げると、部屋にいた40人全員が何の疑いもなく朝が来たと思い込み、起きて寝具を片付け始めた。人の時間感覚の杜撰さに驚くと同時にその状況を面白いと感じた。」この時、ほんのイタズラ心から想像以上の発見を得て、感覚的なレベルで流れる時間の存在を意識すると共に、人のもつ時間感覚というものに懐疑的な視点を持ったことが、現在の作品へと繋がっています。
当たり前のように日常を時計の針に合わせて進む社会の流れに順応してきた私たちにとって、飯川の作品を前に、盲目的に信頼している自らの時間感覚がいかに不確実でなものであるかを考えずにはいられません。偽られた時間を疑う事のない当事者と時間を盗む飯川/協力者、それを傍観する私たち、この三者の間に生じる過去/現在の物理的な時間のズレ、あるいは共有され得ないそれぞれの感覚的な時間がこの展覧会で交錯します。この飯川の仕掛ける「グッドシチュエーション」つまり、様々な「時間」同士が関わり合う偶然とも言えるその瞬間をぜひ体感して頂きたく存じます。
つきましては本状をご覧の上、展覧会をご宣伝、ご高覧を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
Reception: August 2nd (Sat) 18:00
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スケジュール
2008年8月2日(土)〜2008年8月23日(土)
開館情報
時間
11:00 〜 19:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料
無料
会場
児玉画廊|白金
http://www.kodamagallery.com/
住所
〒108-0072 東京都港区白金3-1-15 1F
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アクセス
東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅より徒歩8分
電話番号
03-5449-1559
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