Galaxy Countach βグラフィカルな印象を与える近藤の作品は、日本画の技法をベースに、アクリル絵具や水彩などを混在させたハイブリッドな絵だ。人の顔や服、テレビ、図形……脈絡ない日常のアイテムは、とくに意味なく選ばれていると言う。たとえば新作では、下描きなしに画面の上方から思いついたものを描き、それに反応するままに次のモチーフを描き加えていく。フラットな日本画技法がしっくりくるものもあれば、陰影をつけて再現性を高めたいアクリル絵具向きのものもある。無理に統一感をもたせず、対象によって画材や技法を使い分けて描くと、すべてが自然な配列で画面に収まってくる。そうして、雑多な日常の風景が再構成され、淡々と描写されていく。
最近地図がマイブームだという近藤の絵には、ジョン・ケージのチャンス・オペレーションのようにものの断片が集まり、その集積から、見る人が自由に想像の道筋をたどっていく。近藤の絵には、会議中の人物の姿が繰り返し登場するが、新作展のテーマは「いい会議」なんだそうだ。それぞれ違う主観をもった人が集う会議の席で、創造的な着地点を見出すのはたやすくない。でも、寄り道をたくさんしながら、ひとつの目標に向かって足並みが揃い、一緒に未知の領域にたどりつけるのだとしたら、それは本当にいい会議になるかもしれない。自分だけで、ときには人と一緒にパズルを組み立てられる遊びの作法。そこには、主観と客観、現実と非現実、意識と無意識、そして複数のジャンルが、いい具合にミックスされている。不毛な理論や過剰な物語性のないフラットな近藤の絵は、受け手の右脳をポジティブに刺激する、寛容でオープンな想像力の地図だ。 宮村周子・文より
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